この10年で、ユーロはスウェーデン・クローナに対して30%高くなり、米ドルは70%近く高くなった。2013年の夏は1ユーロを8.7クローナで買えたが、今年は11.17クローナ出さないといけない。スウェーデンは小国だが、財政力も強いのにクローナはなぜここまで弱いのか? 同様の財政力と金利のスイスフランでは、なぜ同じことが起こっていないのか?
スウェーデンの通過の弱さは今に始まったことではなく、過去にはスウェーデンのインフレ率は他の国よりも高く成長率は低いことから通貨安に繋がっていると説明されていた。しかし2008年の金融危機後、この関連性はなくなったのに、クローナ安は続いている。過去10年間のクローナ安は、明確な経済論理と結びついていない。
スウェーデン・クローナが小さな通貨であるため、その価値は純粋に金融取引の量に影響を受けているということらしいとダーゲンス・ニュヘテルの記事はまとめている。
スイスフランとの比較で言えば、スイスフランは株式市場が低迷しているいる時にお金が集まり価値があがるという傾向があるが、スウェーデン・クローナは周辺通貨のひとつとして捉えられており、株式市場が低迷しているときにはその為替レートも下落する。
欧州中央銀行と国際通貨基金でキャリアをつみ、現在スウェーデンの第一年金基金のCEOを務めるクリスティン・マグナション・ベルナードは、スウェーデンでずっとマイナス金利が続いていた時に形成された市場心理を指摘する。その時にスウェーデン中央銀行は「クローナは弱いのが望ましい」とのメッセージを出し続けていたからだという。
この先スウェーデンで起こるかもしれない不動産バブルの暴落によりクローナが避けられているわけではないと指摘する他の専門家もいる。
世界の為替市場で取引される通貨の種類はそれほど多くはないらしく、記事にはスウェーデンクローナは昨年世界で11番目に多く取引された通貨だ、と書かれていて驚いた。小さな通貨ゆえ、ごく少数の金融プレーヤーの行う売り買いで、私たちの生活が大きな影響を受けているということらしい。
救われている点があるとすれば、スウェーデン・クローナも日本円も同じくらい弱いので、この2つの通貨の間ではドルやユーロまで極端な動きは出ていないってことだろうか?(と、これを読んだ巨大な金融プレーヤーが、急に円=クローナ為替を混乱させたりしないことを祈る)