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銃撃事件についてスウェーデンがフィラデルフィア、シカゴ、シンシナティから学べること

取り上げてなかったけど、ここ2、3週間ほどギャング団関連の銃撃事件の報道が続き、また被害者や加害者の年齢も若年化している。ストックホルムは安全な街だと思うが、ヨーロッパ内で比較すると、今のスウェーデンほど銃乱射事件が多発している国もないとSVTの記事には書かれている。

先週、開催されていたストックホルム犯罪学シンポジウムでは、アメリカでギャング団による犯罪が目立つ都市からの研究者たちが参加して、スウェーデンがこれらの都市から学べることは何かについて講演した。

もと警察官で今は刑法研究者であるジェリー・ラトクリフ教授は、ギャング団の暴力は減らすことはできると信じているが、時間がかかること、また政治家は象徴的な方法などはをとらずに、思慮深く行動することが必要であると話す。

150万人都市であるフィラデルフィアでは年間500の殺人事件があり、銃撃事件は数千に及ぶ。その状況と比較すると今スウェーデンで起きていることは、改善していくことはできると教授はいうが、ただしゆっくりと取り組むことが必要で時間がかかることを覚悟しないといけないという。

折しも、スウェーデンでは、法務大臣がギャン団の活動に関わる人びとをもっと実刑に科すべきだと発言していた。ラトクリフ教授によるとこのようなやり方はあまりうまくいかないということだろう。

シカゴでは犯罪組織に取り込まれそうになる危険領域にいる人たちにセラピーの機会や仕事を提供しており、ここではよい結果ができつつあり、失業者と犯罪者に悩むマルメの研究者はスウェーデンでも試してみる価値はあると話す。

シンシナティは、取り締まりに関して、地区の民間人が問題となりそうなところを見回るというやり方で結果を出しており、よい例となっていると話す研究者もいた。

長年ギャング団についての取材を続けるSVTのディアマント・サリーフ記者は、スウェーデンでは他の国のように、麻薬市場を牛耳る確固としたマフィア組織が確立されておらず、若年者の行動を厳しく監視するような仕組みもないため、歯止めのない銃殺事件の乱立に結びついているのではないかと説明する。

銃撃事件を減らすには時間がかかると言われている以上、これからも同じような事件は続くのだろう。学校のない夏は、若者が犯罪組織と関わりを持ちやすい時期でもあるし。

スウェーデンでの銃撃事件に関して国際的な専門家「減らすことはできるが時間がかかるだろう」(SVT)

法務大臣「犯罪ネットワークに関わる人達をもっと実刑に処するべき」(SVT)

ディアマント・サリフの解説「子どもたちは監視カメラに映ろうと、気にしないのだ」(SVT)

「人を殺すことがトレンドになってしまっている」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023