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仁義なき戦いをなくすには

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「犯罪集団間の権力闘争が死者を出す銃撃事件を発生させている」とSVTの事件記者が解説しているのを聞いて、思い出したのが「仁義なき闘い」という映画のタイトル。映画は観たことがないが(観るべきなのなのだろうか?)、たしか広島のヤクザの間での紛争を扱っていた。

スウェーデンでは今年に入ってから既に18人が銃殺されており、これまでの記録を更新した。ギャング団内部にせまる一連の報道で昨年の重要なジャーナリストの賞を受賞したディアマント・サリーフ記者によると、これはこれまでのボスたちが逮捕され投獄されたことから、その地位を争う若いメンバーの間で権力闘争が発生していることが要因だという。なんと不毛な。

スウェーデンの警察はギャング団の間で使用されている暗号化アプリ、エンクロチャットの解読に成功し、内部情報を掴み、麻薬取引などの関わる多くの犯罪者の検挙に成功してきた。その結果が内部闘争での銃殺事件の増加なんて。

ストックホルム大学の犯罪学教授のイェルジィ・サルネクキは、今は血を血で洗う抗争になってしまっており、悪いスパイラルがずっと続いていることを憂い、この銃殺の連鎖が減るような傾向は見えてこないともいう。

これまでできるだけ多くの人を逮捕し、刑期を長くするなどの手段を講じてきたことが今の状況を作ってしまっていると考えれるので、対策の重心を変更する必要がある、と彼は言う。重要なのは自らの死を恐れず、殺すことも恐れない若者が、ギャング団に取り込まれないような対策を講じることだという。

それは犯罪者をみつけて逮捕し、牢屋にいれるという即時的でわかりやすい対応策とは違って、毎日の地道なコミュニティ内での活動や、保育所や学校での取り組み、メンタルヘルスケアや、さらには犯罪でお金を稼ぐことを難しくすることなどが含まれる。どれも即時に効果は現れないし、関連性もわかりにくいが、このようなことをやり続けていかなければ今の状況は変わらないだろうとサルネクキは言う。

そう言えば、いつかどこかで「日本の暴力団対策を参考にしろ」とどこかで誰かが書いているのを読んだ記憶がある。参考にできるような対策なのだろうか?

サリーフ「犯罪者たちの世界での権力闘争が死に至る銃殺事件の引き金に」(SVT)

今年1月〜3月の銃殺事件数が過去最高を記録(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022