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マルメでギャンクによる銃撃や爆発事件が減った理由

最近の銃撃や爆発事件はストックホルムやウプサラに集中しており、一時はスウェーデンで一番恐ろしいところだと悪名高かったマルメでの暴力事件は減っている。2017年をピークとして銃撃事件は半数以下、爆発事件は6分の1以下まで減った。この数字の背景にある理由を、マルメ大学の犯罪学者マンネ・ゲレルが説明していた。

彼によると要因はいくつかあり、ひとつは地域の子どもたちを守るなど10年くらい前から取り組んできた試みがようやく成果をみせていること。若年層がギャング団に取り込まれるのを防ぐには、重罰を厳しくするという一過性のものよりも、地区の大人たちが目を配り子どもたちをスポーツなどの活動で見守ることなどが有効であることは、従来より指摘されてきた。早くから暴力事件に悩まされたマルメは、その取組みで先行しており、その成果がでてきたものと考えられる。

これまでできるだけ多くの人を逮捕し、刑期を長くするなどの手段を講じてきたことが今の状況を作ってしまっていると考えれるので、対策の重心を変更する必要がある、と彼は言う。重要なのは自らの死を恐れず、殺すことも恐れない若者が、ギャング団に取り込まれないような対策を講じることだという。

それは犯罪者をみつけて逮捕し、牢屋にいれるという即時的でわかりやすい対応策とは違って、毎日の地道なコミュニティ内での活動や、保育所や学校での取り組み、メンタルヘルスケアや、さらには犯罪でお金を稼ぐことを難しくすることなどが含まれる。どれも即時に効果は現れないし、関連性もわかりにくいが、このようなことをやり続けていかなければ今の状況は変わらないだろうとサルネクキは言う。

仁義なき戦いをなくすには - swelog ニュースで語るスウェーデン

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二番目の理由としては、今はスウェーデン国内や外国で刑務所に入っているマルメを本拠地とする犯罪者も多いことがあげられる。

しかし残念ながらマルメのこの状況は、ちょっとしたことでまたすぐに変わってしまう可能性もあるとゲレルは言う。マルメの状況は前よりはよくはなったが、とてもいいわけではなく、他の一般的なスウェーデンの都市の状況と同じだ(ヨーテボリとかと、いう意味か?)

また、最近のウプサラやノールショッピングでの銃撃事件ではスコーネからの犯罪者も関わっていることも確認されており、暴力行為や銃撃事件のために他の地方から狙撃手を招き入れるというやり口も広がっていて、そのことから暴力は他の地域へと簡単に広がっていく可能性もある。

ふむ、マルメではみんなの努力でこんな風になってよかったね、との言葉で、この記事を結べたらよかったけど、問題はそんなに簡単には解決しないようで。

犯罪学者コメント・なぜマルメではギャングによる暴力事件が少なくなったか?

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(まったく関係ない話だけど、土曜日に久しぶりにマルメのAB Smålandに立ち寄ったら、このお店でも新品と一緒にセカンドハンドの服の取り扱いを始めていて、以前ブログで取り上げたオジフルエンサーのスヴァンテさんが、その取組みを紹介するポスターのモデルになってた。いいっすね。上の写真です)

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