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「軍に関するフランスの過ちをくり返すな」

激化する暴力の波を食い止めるため10月頭にスウェーデン政府が国防軍による警察の支援を決定したことに、フランスの研究者がフランスと同じような過ちを犯すな、と呼びかけている。

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政治における軍隊の役割について研究しているChiara Ruffa教授は、フランスを2015年と2016年に襲ったテロ事件をうけて、軍隊に警察と同様の権利を与えた結果、軍の力が強まり、政権との「ベタベタした関係」が始まったと説明する。当時フランスの軍隊に与えられた権利は後に撤回されたが、この件で軍の存在感は増し、大統領との距離は縮まった。

スウェーデンの法務大臣は、当面は軍からの支援は分析に関するものや爆破物の処理に関する専門知識の提供など裏方的な役割に限定されると説明していたが、先週末には、軍が警察と同様、市民に対して武力行使をする道も検討中であることが明らかになった。木曜日に設置された新しい調査委員会では、軍が警察への支援を行う場合、民間人に対する武力行使や強制を含むことができるかどうかを検討中だ。

スウェーデンでは1931年に、本来なら国民を守る存在であるべき軍が、労働者のデモに発砲し、5名が死亡するというオーダーレン事件が起きてから、平時の軍と警察の境界線には注意が払われてきた。

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これまで唯一の例外となっていたのはテロ事件への対応だが、今、政府とスウェーデン民主党が検討しているのは、この仕組みをギャング関連犯罪にも広げることだ。

イスラエルとハマスのニュースの影に隠れてしまっていたが、スウェーデンでの銃撃・爆破事件もまったく収まっていないし、警察は、親族などギャンク団の標的となっている人は1000人くらいいると土曜日にコメントしていた。

なぜ人と人は殺し合うのか。人と人が殺し合うのをやめることは無理なのだろうか。

Chiara Ruffa教授のスウェーデンへの忠告・フランスの過ちをくり返すな(SVT)

政府とスウェーデン民主党・軍は民間人へ武力行使できるべきだ(SVT)

警察・ギャンク団の標的となっている人は1000人以上(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023