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「紙の新聞の死」と、これからの地方ジャーナリズム

新聞出版事業者団体のヨハン・タウベルトCEOは、地方や田舎に「紙の新聞の死」がやってきたという。紙の形態の新聞は、大都市ではこれから先も残り続けるであろうが、地方や田舎で存続するのは難しい。紙の新聞への広告出稿は減り続け、インフレで紙や配送にかかる経費は嵩むばかり。

しかしタウベルトCEOは、これが直接ジャーナリズムの中身に悪影響を与えるとは考えていない。紙の新聞の発行をやめることで、より多くの経費をジャーナリストの取材と執筆にかけることができるようになり、ジャーナリズムの質が向上する余地があるとみているからだ。

ヨーテボリ近郊の西スウェーデン地区では、10月1日から1万軒への地方紙の配達をやめることになり、これに伴い170名の配達員も解雇される。取りやめになった地域は、配達に費用がかかりすぎ利益を圧迫すると判断された。これまでは毎朝1軒に新聞を届けるためにさえ、何キロもの距離をトラックが走っていた。

この度この決定をしたのは、ヨーテボリ・ポステン・ハランズポステンとボーヒュスレンポステンの3紙を発行している新聞コングロマリットStampenで、同社は合計10万の紙の新聞の購読者を持っていたので、対象となるのは紙新聞全購読者の10%にあたる。ウッデバラやヴァルベリといった結構大きな街もこの先の配達対象外地域にに入っていてちょっとびっくりした。同様の動きはウプサラなど、他の街の地方紙でも同じだ。

新聞を配達してもらえなくなった人たちには、同社はデジタル購読を勧めているが、地方では高速インターネットの普及に限界があったり、読者が高齢すぎてデジタル化してもついていけない可能性も高い。また新聞は郵便で配達してもらうこともできるのだけど、郵便配達はもうとうの昔に隔日配達になっているのだったわ。

「紙の新聞の死」にまつわる3つの疑問・なぜこれが今地方で起きているのか?(SVT)

地方で死にゆく紙の新聞・今回は1万人の購読者が対象に(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023