ここちよくのんびりとした北欧の暮らしに浸っていると、この世の悪はどこにいった? という錯覚に陥りそうになるが、スウェーデンももちろんその闇は深い。
人身売買に強制売春、そして児童ポルノ。そんなひどい状況は表面には見えてこないけれど、スウェーデンに住む私達の結構間近なところにあることは確かだろう。
闇の深さは『ミレニアム』シリーズなどの北欧ミステリーの読者ならよくご存じだろうし、今、日本でも上映されており、カンヌ国際映画祭のある視点部門でグランプリになった映画『ボーダー 二つの世界』でも、児童ポルノは話の重要な伏線の一つになっている。(余談ですがこの映画すごいです)
そんな状況に心を痛めて、20年前にChildhoodという団体を立ち上げて、自ら児童性的虐待や搾取に対抗する活動を続けているのがスウェーデンのシルヴィア王妃だ。
近年インターネットの爆発的な普及とともに、膨大な数の児童ボルノの画像、映像が出回っており、その状況は年々ひどくなる一方。対抗策として強い武器になると今期待を寄せられているのが、AI技術だ。
昨日は国王一家がそのAIの世界的なエキスパート40名を王宮に招待し、AIに関する知識を深め対策の有効性を話し合う会合が持たれた。
影響力がある人が、その影響力を活用して重要な社会的問題を解決しようとする姿勢をみせることは大きな意味がある。その流れでいうと「芸能人の政治的発言はタブー」とかいう日本の変な考え方も、もう本当にやめたほうがいいです。