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キャッシュレス時代のマネーロンダリング

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お金の流れがデジタルになると、すべてのトランザクションには足跡がついてしまうが、悪いことに知恵のまわる人も後を絶たず、今若者を巻き込んだ送金アプリを使ったマネーロンダリングが急増している。

スウェーデンで圧倒的に支持されていて、2019年8月時点で、全国で716万人ユーザーを誇る送金アプリが「Swish(スイッシュ)」。銀行口座と携帯電話番号を連携させ、同じくスマートフォンで使う個人認証アプリのモバイルBank IDと一緒に使うことで、一瞬にして銀行口座間の振込ができる。携帯電話に既に登録されている友人の電話番号を選ぶだけで口座番号入力などの面倒な手続きなしで一瞬にして送金できる。

SwishアプリはQRコードにも対応しているので、最近はカフェの支払いもカードではなくて「QRコードを読み取ってSwishで」のところも増えてきた。お祭りの屋台もSwish払いが圧倒的だ。

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長らくカード社会だったスウェーデンで最後に残っていた現金もSwishが一掃していまい、私達は毎日現金をほぼ見ることのないキャッシュレスの世界で生きている。

今、15歳から25歳で約5000人いると警察ではみているSwishマネーロンダリングに巻き込まれた若者のなかには、犯罪組織に足を半分を突っ込んでこれで金を稼いでいる者もいれば、脅された者も騙された者もおり、また友人を助けるための善意の行為と信じて自分が犯罪を犯していることを理解していない者もいる。

ニュースにでていたシーモン(仮名)は、町中で突然知らない男に脅され、その場でSwishで15,000クローナ(約17万円)を送りつけられ、それを近くのATMで引き出すことを要求された。シーモンは恐怖を感じてこの出来事を警察にも親にも話さなかったが、半年後に警察の捜査で足がつき、マネーロンダリングに関わった罪に問われることになった。

この手口は今こうしてニュースで報道されたから同じ手口にあった人は通報することを選ぶだろうしこの先このやり方は減っていくかもしれないが、その一方で悪いことを考える力も際限ないだろうから、今後もいたちごっごが続いていくに違いない。

やれやれ、ですな。

何千人もの若者が犯罪組織のマネーロンダリングに利用される

© Hiromi Blomberg 2023