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国土全体で100%の高速インターネット接続を目指すスウェーデンと、その道程

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スウェーデンは、高速インターネットの提供レベルや遠隔地でのインターネットの普及率でEUの中でトップを走るデジタル化大国。2020年には国民の95%、そして2025年には全国民が高速インターネットへアクセスできることを現政権は目標として掲げている。

この度、中間目標の2020年の95%のアクセス提供レベルが発表されたが達成できていなかったことがわかり、デジタル化担当大臣のアンデシュ・イーゲマンがニュース番組に出演し、目標未達の失敗を認める発言をしていた。

郵便通信庁の最新のレポートによるとスウェーデンでは、携帯電話網の普及率も高速インターネット網も引き続き改善はされているが政府の掲げる目標値には達しなかった。生活の隅々までデジタル化がすすむスウェーデンではインターネットが使えなければ、たちまちそれは死活問題でもある。

とはいえ、日本の約1.2倍の国土面積に日本の約12分の1の人口であるスウェーデン。特に広大な土地が広がるスウェーデン北部でも、携帯電話接続、インターネット接続を確保することは、直ちにコストの問題につながる。

高速インターネット網の100%のアクセスを目標とし多大な予算を注ぎ込んでおきながら、中間目標が未達であったことを指摘されたイーゲマン大臣は「接続アクセスを約束しておきながら、その約束を守らなかった企業がある」と、苦しい回答をしていた。(Teliaなどのことだろうか?)

このニュースに関連して、僻地へのサービスを担保するために活動している団体「Hela Sverige ska leva(すべてのスウェーデン人の生活のために)」のテレーズ・ベンガード代表が、やっぱりいつも最終的にはこの問題に行き着くよね、という発言をしていたのでこちらも最後に紹介します。だから、だれにとっても政治の議論は身近なもので、自分の問題として考えることを強いられるのです。

ニュースキャスター「僻地にも高速インターネット接続を保証するにはとてもお金がかかります。それは適切なことでしょうか?」

ベンガード代表「田舎だからといって穴ぼこだらけの道で我慢すべきでしょうか? 高齢者向け住宅の室温は(光熱費を節約するために)下げますか? 警察に電話しても来てくれるまで2,3時間待ちますか? 最寄りの病院が200キロ先というのはどうでしょう? これらはすべて政治で優先順位を決めること。私は、これらのサービスが遠隔地でも提供されるべきだという考えのもとに行動しています」

 え、ベンガードさんと考えが違う? だったらそれは表明すべきですね🙋‍♀️

デジタル化の中間目標未達成で、「失敗だ」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023