火曜日の朝スカンジナビア航空(SAS)のYoutubeチャンネルに、一本の広告動画がアップロードされた。
そのビデオは北欧でゆったり休暇を取る人、赤ちゃんを抱いた父親、スウェーデンのミートボールなどの映像を見せながら「真に北欧なものとはなんでしょう?(What is truely Scandinavian?)」と問いかける。そしてその問いは「そんなものはありません」と受けられる。「すべてはコピーにすぎません」。
そしてビデオは「民主主義はギリシャ、育児休暇はスイスから。女性解放運動に関してはアメリカに感謝すべきだし、ミートボールだってトルコ? だよ」とナレーションを続ける。
伝えようとしていたのは「現在北欧を象徴し、伝統であるとさえ一般的に考えられている考え方や物事は、すべて北欧がオリジナルというわけではなく、旅に出た北欧人たちが旅先から持ち込んで熟成させたもの。だから私達は世界に向けてのオープンさをなくさず、これからも旅を続けよう」ということだ。
これがスウェーデン民主党の議員ほか、多くの人の怒りに火をつけた。動画にはまたたく間に「もう今後SASには乗らない。馬鹿げてる」という怒りのコメントが多く寄せられ、SASは火曜日の夜遅くに動画を検索できないようにリストから外した。
でもSASの言いたかったことは間違ってない。
と思ってたら、やっぱりSASもそう思っていたようで、ビデオに込めたメッセージを訂正するつもりはないとのコメントを水曜日になって出した。
ビデオをリストから外したのはを広告キャンペーンへの攻撃があまりにも激しくなり乗っ取られる危険があったからと説明している。これには、炎上を見て飛びついてきたロシアのトロールの関与を指摘する人もいる。
動画は上にリンクをはったように、直接リンクなら今も誰でもみることができる。
海外の人に日本の文化を説明しようとすると、仏教の伝来や漢字のことなど中国や他の国からの多大な影響に毎回触れることになる。どの国の文化も他からの影響を受けることなしには成立しないのに、何かが「純血」であることを信じたい人はどこの国にもいるようだ。
とういうわけで、私もSASのメッセージには大賛成なのだが、しかしそうなのよ、旅は人も国も豊かにするのだが、飛行機にはやはりあんまり乗っちゃいけないの…。