スウェーデン軍の陸上運搬車が2台盗まれ、数日中に1台は駐車場で、もう1台は森の中で発見されるという事件が起きた。
盗まれたのはウプサラ郊外のエンショッピングの軍保管庫にあった隊員運搬用のGaltenと呼ばれる軍用車2台。盗まれた車には銃器や弾薬などの兵器は積まれていなかったということだが、それにしてもこんな大きく目立つ車をどうやって盗んだのだろう? 盗みがあまりにも堂々としていると誰も疑わないのだろうか?
このニュースで思い出さずにはいられないのが、日本語にも翻訳されているスウェーデンの人気犯罪小説『熊と踊れ』。軍の倉庫から大量の銃器を盗み出し銀行を襲撃した実在の強盗事件を下敷きにした小説だ。
そうか、これも実在の事件.....! そもそもスウェーデンの軍隊の守りが甘いだけ? 大丈夫なのだろうか? 心配にはなるが、それは軍の責任者によく検討して対策を練ってもらうとして、気になったのが、今回の軍用車盗難についてコメントを寄せていたのが、ディストピア・パラレルワールド小説作家のラーシュ・ヴィルデレング(Lars Wilderäng)だったことだ。
彼の数々のディストピア、もしくは破滅小説は、残念ながら日本語には翻訳されていないようだが、ありえる近未来というか、明日やってくるかもしれない世界を描写した彼の小説は、スウェーデンで合計50万部以上を売り上げている。
私は彼の本を読んだことがないのだが、新作が出る度に夫が読んでいて、「電子機器が機能制御不能になり、その上停電するとこうなる」とか「今のスウェーデンで戦争が起きるとはこういうことだ」とかリアルすぎる起こりえる怖い世界を時々教えてくれる。
去年9月のヨーテボリのブックフェアで、私がこれも結構気になっているプレッパーの話を聞きにいったら、そこでも話していたのがヴィルデレングだったこともあり、個人的に注目している作家である。とは言っても本は読んでいないので、勝手に注目されても彼には迷惑…。
さらには、こちらは許してくれると思うのだが、彼は人気作家になった後も経済や政治、社会にかかわるブログを自分で運営していて、ここで取り上げる彼のニュースのチョイスが、私の選ぶニュースと結構似ているという意味でも気になっている。
で、彼には申し訳ないのだがこんな内容のディストピア小説をこの先もスウェーデン語で読む自信は未だないので、どうか日本の出版社とすばらしい翻訳者の皆さん、もしもこのブログに目にとめられることがあれば、ぜひヴィルデレングの翻訳をご検討ください。期待してますー!