グレタ・トゥーンベリが2018年9月の国政選挙を前にして、スウェーデン国会議事堂前広場で気候危機ストライキの座り込みを始めて4年。9月にはまた次の選挙がやってくる。今回の選挙ではグレタと同じ世代で、気候問題には強い関心を持つと分析されている43万人の若者たちが始めて投票することになる。
果たしてこれまでにも他の国で見られたような「グレタ効果」はスウェーデンでも起こるのだろうか?、とダーゲンス・ニュヘテルが分析していた。
2019年のEUの選挙では気候問題を掲げる政党が躍進し、ヨーロッパに緑の波が押し寄せたと話題になり、2021年のドイツの選挙では緑の党が第三党になった。今年のオーストラリアの選挙では気候問題への取り組みをより鮮明に掲げた労働党がそれまで9年間政権の座にあった保守勢力を破った。一方スウェーデンでは環境党は存続の危機に面している。
このことは2020年8月に発表された「グレタ効果とスウェーデンの環境・気候問題への影響」というレポートでも、スウェーデンではグレタや若者の行動のスウェーデン人の環境問題に対する行動や意識への影響は非常に小さなものであったとまとめられている。
若者に特化したオピニオン分析を行っているUmgdomsbarometern(ユースバロメーター)はグレタ効果はあるが、それが選挙結果として現れるのは難しいだろうと分析する。環境党は若者の注目を集めるだろうが、実際の投票数を集めることは難しいだろうという。
若者の間で支持を集める政党は社会民主党、穏健党、そして環境党だが、環境党はその他の世代と同様、近年は若者の間でも落ち込んでいる。普通に考えられているより若者は右よりで、統計庁の数字によれば時に若い男性有権者の間での環境党支持率は低く、1.7%でしかない。穏健党の青年部は、若い男性がもっとも重要だと考えているのは移民問題、犯罪と経済に関わる論点だと主張している。
…… ということで、スウェーデンではやはり大したグレタ効果は今回の選挙でも起こりそうにないが、昨日発表されたNovusによる最新の有権者調査では、環境党への指示が5.2%へと伸びていた。
しかし、これは気候危機への共感で支持が伸びているというよりも、環境党が国会から消えてしまうと、現在の与党の社会民主党による続投が難しくなることから、保守穏健党や極右政党のスウェーデン民主党が政権を握ることを阻止したい層が後押ししているのだろうと環境党自らも分析している。
環境党がスウェーデン国会から消え去るなんて、これ以上の皮肉はないと思うので、まあ理由はどうあれ、この傾向が続くといいな。