他のEU加盟国が次々と子どもにも新型コロナのワクチン接種を実施していく中で、ほぼ最後に残った未実施国となっていたスウェーデンも、12歳以上をワクチン接種の対象者とすることを木曜日に発表した。しかし、なぜ子どもにワクチンを打つのかの理由が、私が考えていたのとはちょっと違っていた。
金曜日の朝のニュースでインタビューを受けていた公衆衛生庁のアンデシュ・テグネルは、子どもへのワクチン接種は感染拡大を防ぐ目的で行うものではなく、子どもたちが重い病気になることを防ぐという目的で行うと説明する。感染のことだけを考えると、今16歳以上でかなりワクチン接種が進んでいるため、これ以上子どもたちに接種しても感染拡大をこれ以上大きく抑える効果はあまりないのだそうだ。
ワクチンの接種は学校で提供されるが、する、しないはもちろん親が子どもと一緒に決めることになる。公衆衛生庁は子どもも重症化する可能があること、また感染するとかなり長い間に渡って学校を休むことになることも多く、その際の勉強の遅れや子どものメンタルヘルスへの影響も考えている。
金曜日の統計数字では、これまでワクチン接種の対象の16歳以上の人たちの74.1%が2度の接種を終え、1度でもワクチンを受けた人が82.8%だ。政府はさらなるワクチン接種率の向上を目指して、今週4000万クローナ(約5億1,000万円)の追加予算も決定した。このお金はまだ接種してない成人ターゲットグループ向けた広報活動や、ドロップイン接種会場の設置などに使われる。例えばマルメでは、モスクでの出張ワクチン接種を始めたりといった動きがある。
今のスウェーデンでCovid-19で重症化した人の殆どがワクチンを受けていなかった人で、また数日前にはアメリカのCDCが、ワクチン接種をしてない人はCovid-19で死亡する確率が接種した人に比べて11倍になる、という研究結果も発表している。
また米国CDCはワクチン接種を受けた900万人の子どもの接種後の状況についても報告書をまとめており、最もよくみられる副作用としては頭痛、発熱、疲労感であり、まれに心筋で炎症がでることが報告されている(主に少年や若い男性にみられる)。
子どもへの接種も、メリットがデメリットを上回るというのが今回のスウェーデンの公衆衛生庁の判断だ。
私が子どもだった頃は、子どもはもちろんのこと親もあまり考えないで、ワクチン接種があればみんな言われたとおり腕を差し出していたように思う。子どもへの新型コロナワクチン接種は、親にとっては難しい決断になるかもしれないが、選ぶことができるというのは、やはりよいことだと思う。
テグネル談「子どもにワクチン接種をするのは感染の拡大を防ぐためではない」(SVT)