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社会の危機と図書館

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文化、コミュニケーション、クリエイティブの領域で働く人たちのための労働組合DIKは、スウェーデンの図書館で働く人たちの労働環境に関する報告書を作成している。

2年前にだされた前回と比較すると、この度の報告書ではパンデミックの影響が強く現れていて、そこで新しく指摘されていてるのは、図書館という施設がいかに緊急事態に備えていなかったかという点と、図書館が閉鎖されてしまったことでさらに顕在化したデジタル社会から取り残されてしまった人たちの存在(とそこに図書館が果たす役割)だ。

「危機の時代の図書館」と名付けられた今回のDIKからのレポートは、今年の5月に1707名の組合員から回答を得たアンケートに基づいている。パンデミック下で、公立図書館の10館のうち7館では、完全に閉鎖されてしまっていた時期がある。

図書館で取られた感染対策については回答者の過半数が「よかった」と回答しているが、時には行政側で対策を決めかねたり、対応が遅くなったりして、スタッフ自身で対応策をとる必要もあり、不安な状況の中働くことを強いられた人もいた。

DIKの代表のアンナ・トローベリは「図書館は社会の総合的な緊急事態対策の一部として組み込まれるべきだ」とも結論づけている。

また、高度にデジタル化の進んだスウェーデンでは、銀行や公的機関には窓口もないことも多くインターネットでやり取りをすることが求められるが、パンデミック前までは、パソコンやプリンターのある図書館は、デジタル化に縁遠い人たちの受け皿としても機能してきた。それがかなり長期間に渡って閉鎖されてしまったことで、大きな影響がでているのは間違いないとトローベリは続ける。

前回の調査で一番の問題として指摘されていたのは、図書館での暴力や破壊行為などの問題だった。

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こちらに関しては今回のレポートではその傾向は弱まっているものの、これが長期的な改善を示唆しているのか、またはパンデミックによる一時的な傾向なのかは、判断するのは早すぎるようだ。

「図書館には社会の問題点が凝縮した形で現れてくる(トローベリ)」。図書館が社会に果たす役割の重要さは、もっともっと注目を集め、議論されるべきだと私も思います。

スウェーデンの図書館の大きな課題が調査で明らかに(SVT)

© Hiromi Blomberg 2021