スウェーデンでは昨日の夜に限らず、よく日曜日の夜に政治討論番組をやっている。いつも思うのだがダラダラしたくないのかな、この人たち。みんなが家にてダラダラしている時間で、多く人に見てもらえる可能性があるからやるんでしょうけど。
ともかく、昨日の夜8時から放送されていたのは、各政党の気候問題担当者たちへ気候問題科学者たちがダメ出しをするという討論番組。科学者からは政治家へレッドカードやイエローカードが出され、各政党が言うままに進めていくと、世界各国の中でも気候危機対策ではリードしていると言われるスウェーデンでも、目標としている2045年のネットゼロは到底達成できそうにないことがわかった。
スウェーデンでこれなのだから、他に達成できそうな国はあるのか? CCPI (Climate Change Performance Index)が世界の経済大国57カ国を評価した気候変動対策インデックスでは、対策が「とてもよい」国はなく、スウェーデンは順位では4位で、上位に位置する。
しかし、各政党は気候目標に重きをおくという考え方はあるものの、具体案が十分ではない。番組に参加していたスウェーデン自然保護協会は、2030年までの化石燃料の使用の禁止、他国からの輸入品に含まれている二酸化炭素炭素排出量をスウェーデンの排出量に含めて計算すること、農業用のディーゼル燃料への補助金をやめて、また航空国際線への補助金(現在は燃料税と付加価値税を免除されている)をやめることなどを要求している。
また気候正義問題は、国際的な枠組みの中だけではなく、スウェーデンの中でも具現化されている。スウェーデンの富裕層一人あたり年間43トンの二酸化炭素を排出しているのに対し、平均的なスウェーデン人の排出量は年間8トンに留まる。スウェーデン人に人気のリゾート地タイまで飛行機で一回往復する時の排出量は、自動車一年分の排出量に相当する。
SVTの気候問題ジャーナリスト、エリカ・ベェストロームは、昨夜の番組をまとめ、誰かの生活を制限するようなことをしないと、到底気候目標は達成できないことが明らかになったと言う。それが高所得者と低所得者の間の対立なのか、都市部と地方の対立になるのかはわからないが、その違いははっきりしたと。
また彼女は昨日の討論会で、経済的に成長を鈍化させ、消費を抑制しなければ気候目標は達成できないことをどの党も言及しなかったことに触れる。これは、政治家が出すメッセージとしては票をなくす、不人気なものになることは明らかだが、脱成長しない限り、気候目標は到底達成できないことを勇気をもって声高々に訴える政治家はスウェーデンではまだいなかったことを。