swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

すべてが悪い方向に向かっている時に悲観主義は役に立つのだろうか?

賃金格差、健康格差が広がってしまった話を一昨日、昨日とこのブログに書いていたら、アメリカでは昨日連邦最高裁が人工中絶権の合憲性を認めないという判決がでた。そして、今日のニュースは、スウェーデンでの温室効果ガスが増加したというものだ。排出量が増えたのはパンデミックが背景にあるとはいえ、私たちは一体なにをやっているのだろう?

2021年の温室効果ガスの排出量が前年比で4%も増加したのは、2020年の排出量がパンデミックの影響で極端に少なかったから。長期的に見ると賃金格差と同様に、排出量も減り続けているが(20世紀末のピーク時から33%減った)、この先も同じペースで進むと、スウェーデンは気候目標を達成できない。

排出量の減少程度は近年一年あたり2〜3%に留まっており、2030年、2040年に達成する予定の気候目標のためには、減少率は年7〜8%でなくてはならない。

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私は基本的にはいつもニコニコしているが、こうして4年近くニュースブログを書いてきて、つくづく思うのが「Allt går åt hellvete(みんな悪い方向に向かっている)」である。世の中が自分が信じるよい方向へと向かうように努力することは大切だが、その努力は、異なった方向からの暴力的なフォースに抗えない。

そんな私のつぶやきを何度も聞かされている夫が「ひろみの言ってるとおなじことを科学で裏付けしている本読んだよ。すごい悲観的」と勧めてくれたのが 『奈落に落ちるまでの8段階(Åtta steg mot avgrunden 未邦訳)』という本。

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Åtta steg mot avgrunden : vårt framtida liv på planeten - Jonathan Jeppsson - Pocket | Bokus

アフトンブラーデットの気鋭の気候ジャーナリストが、現時点でわかっている科学的事実や科学者へのインタビューからまとめたこの本は、これから10年ごと8つの段階で、21世紀の地球と私たちの暮らしにどのようなことが起こるかを詳しく書いているそうだ。氷河がとけ、海面が上昇し、熱波につつまれる近未来図にまったく明るい要素はない。そんなに悲観的な内容なのに、落ち込むだけではない力強さをもった本で、多くの人の読んでよかったという感想が不思議だ。

また同時に夫が進めてくれたのが、彼が若いころのめり込んだという悲観主義を極めた北欧の哲学の巨人、ゲオルグ・ヘンリク・フォン・ウリクトである。

彼の『進歩の神話 (Myten om framsteg)』では、技術革新を本当に進歩と言えるのかが議論されているそうで、悲観的ものの見方を持ちつつそれでも前に進むことを力づけてくれるものらしい。この夏はこちらの2冊、頑張って読んでみるかな。

自然保護庁「気候目標を達成するのは依然として極めて厳しい状況」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022