swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

オランダの自転車野郎たちが阻止するプライベートジェット

オランダ・アムステルダムのスキポール空港が、深夜0時以降の航空機の離着陸を禁止して年間1万便程度のフライトを削減し、さらにはプライベートジェット機や小型のビジネス用航空機も禁止する措置を2025年から2026年にかけて実施する計画を発表したことは、日本語でも報道されていたのでもうご存知の方も多いかもしれない。

www.cnn.co.jp

スウェーデンのダーゲンス・ニュヘテルは、このスキポール空港の発表を、昨年11月5日に行われた500名以上の自転車に乗った気候活動家による滑走路の自転車によるデモ抗議事件と合わせて報道していた。このデモはグリーンピースとエクステンション・リベリオンの自転車に乗った気候活動家たちが、スキポール空港でプライベートジェットを取り囲み、飛行を阻止したもの。グリーンピースによると、デモには500人の活動家が参加し、うち200人以上が逮捕された。(下記のリンクから滑走路を駆け回る自転車に乗ったアクティビストたちの様子を観ることができる)

ブリストル大学で市民的不服従と社会運動について研究しているオスカー・ベリルンドは、今回のスキポール空港の決定は、近隣住民や政府からの圧力に応じたものだと考えているが(オランダ政府は2024年までにこの空港での離発着数を年間50万回から44万回へと12%削減することを提案している)、この昨年11月のプライベートジェットに対する抗議運動が一役買ったともみている。

グリーンピースのまとめでは、ヨーロッパ内でのプライベートジェットのフライト数はパンデミックにより、2020年から2022年にかけて64%増加し57万2806便となり、これはEU市民55万人が1年間で出す温室効果ガスの排出量に等しい。超リッチな人たちが気温温暖化ガスを撒き散らしているという、これほど気候正義のあり方がはっきりと出ている例もあまりない。

空港からの発表では、プライベートジェットは通常の航空機よりも一人あたり20倍程度の気候温暖化ガスや騒音を出すとの試算がある。またスキポール空港からのプライベートジェット利用はイビザ、カンヌ、インスブルックなどのリゾート地に向かうものが30から50%を占めているが、これらの目的地にはすでに定期便の運行もある。

スウェーデンでもプライベートジェット機の利用数はパンデミックで、2020年の3219便から2022年の1万285便へと3倍以上に伸びており、ほとんどがストックホルム郊外のブロンマ空港の利用で、多くはここからロンドンへ行くものだ。

しかし、500人もの自転車野郎、どうやって滑走路に侵入したのだろう?!!

欧州第3位の空港がプライベートジェット機を禁止へ(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023