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犯罪者とミュージックアワード

スウェーデンのミュージックアワードの一つ音楽出版協会賞(Musikförläggarna)が、今後は「加害者や犯罪者」には賞を授与しないと発表したことで、議論がわき上がっている。

芸術と、その創造者は区別されるべきか、優れた芸術を生み出した人が罪を犯したり、容疑がある場合、どのように対処すべきかの議論は、スウェーデンでも長い間行われてきた。今回また議論が再熱している背景には、昨年音楽出版協会賞音の最優秀楽曲賞が、授与式のすこし前に強盗事件の実行判決を受けたばかりのラッパーのドリー・ロー(Dree Low)へ与えられ、同賞への非難が殺到したことにある。

音楽出版協会賞はその際に、音楽賞授与に関する基準と見直すことを約束し、今回「セクシャルハラスメント、虐待、差別、脅迫、暴力などの犯罪行為を行った人たちを讃え、賞を与えることに正当性はないと判断した」と発表した。今回の授与資格に関するガイドラインは外部の法律、サステナビリティ、インクルージョンの専門家たちと一緒に策定したという。

この決定に関して、例えばアフトンブラーデットの評論家は「恥ずべきこと」と書いており、音楽賞はこの決定により何をしたいのだろう、と問う。

昨年他に話題になった同様の件として、当時容疑者でその後誘拐犯として有罪となったYasinにもいつくかの音楽賞(作詞)が与えられたが、Yasinを賞から排除すれば、彼の曲が描くような世界で、人々は撃ち合いを止めるのだろうか、社会格差の問題は解決されるのか、このような問題を音楽で描く必要はなくなるのだろうか? と続ける。

芸術的価値とは離れたところで、アーティストの素行に論点が集中することを懸念する声は高い。

他にも、昨年ヴァージン諸島に金を隠していたことが明るみにでた大御所のスウェディッシュ・ハウス・マフィアの脱税の件はどうなるのだ、と書く評論家もいる。音楽出版協会賞はどんな罪でも同じ扱いをするのだろうかと疑問を投げかける(そういえば、イングマール・ベリマンも脱税容疑でスウェーデンを離れていたことがあるな。それは容疑のままで終わったけど)

SVTの取材によると、スウェーデンの他の音楽賞の多くは方針を特に変える必要はないと考えているようだ。

2021年にYasinに賞を与え、また受賞当時は容疑者でその後誘拐と強盗事件で実刑が確定したHavalにも賞を授与したグラミー賞は、特に変更の予定はないが今回の決定を強い関心をもって見守っているとコメントした。また毎年P3 Guld賞を発表しているスウェーデン公共ラジオ放送SRの音楽部門責任者も、SRの音楽賞に対する姿勢に変更はないと回答している。

この問題は、来る週末7月3日から始まるゴットランド島での政治討論ウィーク、アルメダーレンでも音楽出版協会の主催でトピックの一つとして議論される予定だ。当日はオンライン配信もあるので、興味のある方はぜひ。

Ska musikbranschens prisutdelare skilja på verk och person?

そういえば、アルメダーレンの通常開催もパンデミックで今年は3年ぶりということか。なんだか、もうすっかりパンデミック後の生活に慣れちゃったけど(というよりパンデミック前の生活に限りなくそのまま戻っただけか?)

アルメダーレンって何?って方はこちらをどうぞ

風光明媚なゴットランドのヴィスビーにあるアルメダーレン公園を中心に、スウェーデンの政党や団体が集結して政策演説やセミナーが行われるというユニークな慣習。もともとは、1968年に当時の首相オロフ・パルメが、夏休みをとっていたゴットランドで政策演説を行い、人が集まってきたことがアルメダーレンの始まり。

現在では2000以上の組織から4万5000人以上の人が集まる規模になっており、期間中に開催されるイベントは開催機関公認のものだけでも4000以上。おそらく1万近い集会がヴィスビーにぎっしり集まった参加者により、ここかしこで開催されます。
医者にならない医学部卒業生とその教育費の関係 - swelogより

音楽出版協会賞は容疑者への賞の授与を止める決定へ(SVT)

音楽出版協会賞の決定に噴出する批判「心配だ」の声も(SVT)

他の音楽賞は犯罪者への授与に関するガイドライン変更の予定はない(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022