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エルドアンとの「合意」と誰がテロリストなのか問題

NATO加盟の件は、これですんなり進むのかと思ったら、昨日はトルコのエルドアン大統領が「スウェーデンは73人のテロリストの引き渡しを約束した」との爆弾発言をして、これまた先行きがよくわからなくなってきた。

エルドアン大統領はフィンランドとスウェーデンがまずは約束を果たさないと両国のNATO加盟についてトルコの議会で批准することはないといい、火曜日の夜に合意したはずなのに、スウェーデン側からするとこれではちょっと話が違う。

エルドアンはこの引き渡しについては合意の中に含まれていたと言っており、また以前は60人の引き渡しについて交渉していたが、今回の交渉ではその数は73名までに増えたとも話す。

6月30日の夜の時点では、アンデション首相、リンデ外相ともSVTの取材には応じておらず、ヨハンソン法務大臣が「スウェーデンではスウェーデンの法律が適応され、他からの影響を受けない独立した裁判所で採決される。スウェーデンは他国の要請により身柄を引き渡すことはあるが、それはスウェーデンの法律と欧州条約に適合する場合に限られる」と書面で回答した。

今回の合意にはトルコの指定する73名の身柄の引き渡しや法改定の約束は含まれておらず、NATOのホームページにも記載されて合意に関する記載にもトルコ指定のテロリストの引き渡しへの言及はない。トルコでテロリスト認定を受けている人が、スウェーデンやフィンランドでは必ずしもテロリストとして認定されるわけではない。

SVTは、エルドアンが名指しで引き渡しを要求しているとトルコのメディアで具体的に名前が挙げられている人にインタビューしていたが、それは例えば2016年にスウェーデンに逃亡したジャーナリストLevent Kenezで、スウェーデンの最高裁は昨年その人物が罪を犯したとは言えない、とトルコからの引き渡し要求を却下していた。最高裁判所の判決文には「新聞の編集長としてのKenezがおこなった報道活動はスウェーデンの法律では犯罪ではない」と記されている。

SVTの現地特派員は、トルコでは来年選挙があるのでエルドアンはこの北欧2国に対する拒否権カードを、国内政治での世論形成に都合のよいようにしばらくは使い続けるだろうと説明する。

スウェーデン政府側はトルコからの応酬に加えて、国内でも今回の合意に関して左党と環境党から激しい批判を受けている。2019年以来許可していなかったトルコへの武器輸出禁止を解禁したからだ。

火曜日には「合意」したと華々しく発表があったけれど、これが最終的にどういう形に落ち着くのか、それは実際に時間が経過して結果をみるまできっとよくわかないまま進むのかな。

エルドアン「スウェーデンは73人のテロリストの引き渡しを約束した」(ダーゲンス・ニュヘテル)

エルドアンが引き渡しを要求しているのはこれらの人たち(SVT)

SVT特派員がエルドアンの爆弾発言を解説(SVT)

クヌットソン解説員「この合意にはいくつもの解釈の仕方がある」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022