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出生率減少は一時的な傾向か?

 最近「日本の少子化解消にはスウェーデンの事例が参考になる」と、1930年代以降のスウェーデンの政策と動きを簡潔にまとめた日経の記事を読んだが、昨日SVTがレポートしていたのは、今年に入ってスウェーデンの出生率が低下しているというもの。

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スウェーデン統計庁(SCB)によると、2022年春の出生率は過去20年間で最低の水準になった。ストックホルム大学の人口統計学の教授グンナー・アンデションは、この傾向に驚きながらもパンデミックとの関連を指摘する。

パンデミック当初、人々は家で過ごす時間が増え、それは出生率の増加として現れた。しかし今年の1月には出生率は減少し、その傾向は4月に入っても続いており、この4ヶ月間ではスウェーデンの出生率は女性1人あたり1.57人(2021年の同時期では1.69人)となった。

アンデション教授は、これは2021年になって、人々の間で新型コロナウイルスの予防接種が行き渡り、自宅で多くの時間を過ごしていたパンデミック時期を終え、それ以前の生活に戻ったことで子作りをする時間がなくなったことが原因ではないかと分析する。

スウェーデンで出生率がここまで低水準だったのは、1990年代前半の経済危機を経験した後の1990年後半で、この時は将来への不安が高まり子どもを産むという選択をする人が減ったと分析されてきた。

パンデミックと自宅で過ごす時間と出生率の関連というのは興味深いが、今年にはいってからはウクライナの戦争や気候危機といった将来への不安要素の高い、大きなニュースも続く。出生率減少の傾向は今だけの一時的なものなのか? それともこの先も大きな傾向として続くのだろうか?

スウェーデンで出生率が減少「驚いている」(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023