風紀警察に乱暴に逮捕されその後死亡したマフサ・アミニさんの死をきっかけとして始まった今回のイランでの大規模な抗議運動。これまでに多くに死者を出しており、国家の統治方法への抗議デモはイラン国内から国外へも広がっている。ロイターはイランがノルウェーや英国の現地大使館に抗議したことを伝えているが、この週末はスウェーデンでも各地で大規模なイランへの抗議デモがあった。
イラン側によると、このデモに関してロンドンに拠点を置くペルシャ語メディアはイランに「敵対的」な報道を展開し、ノルウェーの国会議長は「内政干渉的」な態度を示しているという。
土曜日にはストックホルムの中心部で数千人の人が集まるデモがあった。イランでも行われているように、何人かの女性がその場でヒジャブを燃やしたり、髪を切ったりする抗議を行った。また昨日の日曜日は、ヨーテボリでも多くの人が集まるデモがあった。
今回のイランでのデモは女性からの声で始まり、これまでは対立していたような異なるグループの人たちも結束しているという点で、これでの抗議運動とは異なることをスウェーデンのニュースは伝えている。
スウェーデンにはイランからやってきた移民や難民が多くいて、またそのような両親の元でスウェーデンで生まれた人もたくさんいる。「イランでデモを続けている人たちは命や投獄される危険を犯して戦っている。そのような危険のないスウェーデンにいる私たちが、人権と女性の権利への支持を示すことが大切だ」とデモ参加者の1人は語る。
ストックホルムのデモでスピーチしたカシャール・ファルマンバール・エネルギー担当大臣(イラン系スウェーデン人)は「私たちは世界で始めてのフェミニスト革命を目にしている」と話し、イランの人々の勇気を讃えていた(きっとそのうちイランからスウェーデン大使館にも抗議が入るのだろう…)。
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今回から少し前の2021年、スウェーデンのイラン系の映画監督が、今回の抗議活動につながる運動を長らく行ってきたマシ・アリネジャド(Masih Alinejad)と、彼女の呼びかけに応じて抗議したイランの女性たちを追ったドキュメンタリーを作成していて、これは今、SVT Playで観ることができる。監督は彼女は今年のノーベル平和賞をとるだろうと噂されているとも今年初めに行われたとあるカンファレンスで話している。
この映画「Be My Voice」というタイトルで英語でも観れるので、トレーラーを貼っておきます。気になった人はぜひ探してみて。
アリネジャドは今はニューヨークに亡命しているが、ニューヨーカーが彼女へ行ったインタビュー記事が今週末公開されているので、こちらの記事もリンクを貼っておきます。
インタビューで、自分が火をつけた運動で、今多くの人がイランで死んだり投獄されているのをどう思うか? と聞かれたアリネジャドは泣き始めたが「イランの政権は女性によって倒されることを信じている」と語った。アリネジャド自身も今はFBIの保護下にあるが、常に命の危険にさらされている。