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H&Mの不振と、それがスウェーデン経済に与える影響

気候危機に配慮しながら手頃な価格のファッションを提供するというH&Mの戦略は、うまくいっていない。第二次世界大戦後、スウェーデンの地方都市の1軒の婦人服店から始まったH&Mの成功の歴史は、今難しい時代を迎えている。終焉に向かっているという人もいる。

2016年のピーク時には世界で20番目に価値のあるブランドとして認められ、一時期は6大陸に合わせて5000店舗を展開していたH&Mは、E-コマースに乗り遅れ、最近では営業利益率を競合のZaraの半分程度の6−8%まで落とし、さらには中国のSheinにも安さや速さやサポートサービスで多大な遅れをとっている。

ファストファッションの中では、気候変動問題にいち早く真剣に取り組み、顧客を囲い込むはずだったが、この問題に関心のある顧客はより意識の高いブランドを選び、H&Mは選択肢としてあがってこない。「サステナブルなのに、手の届く値段のファッション」というH&Mが描いた未来は、その目標が達成できてないか、またはその目標の先には客はいなかったのか? いずれにせよ、2030年までに売上高は2倍、排出量は半分にという目標には、到底手は届きそうにない。

H&Mはスウェーデンに数ある企業の一つにしか過ぎないが、その規模の大きさから、業績の不振がスウェーデン社会全体に与える影響も大きい。

このコラムによると、H&Mは今もスウェーデンに留まり、年間数億クローナの税金を収める国内最大手の企業で、また約25万人がスウェーデンでH&Mの株式を所有している。そしてこれまでの雇用契約を変更して、ギーグエコノミーへと移行しようとしているH&Mだが(それにより多くの批判も受けているが)、様々な形でH&Mで働いている人は、スウェーデン国内だけでも1万人に及ぶ。

ただでさえ、苦境だが、これからさらにEUでは、画期的な「ファストファッション禁止法」とでも呼べそうな新法規が検討されている。これがH&Mに吉と出るのか凶と出るのか?

というところで、時間がなくなったので、EUの新規制についてはまた明日のブログで書くことにします。

コラム・H&Mの黄金の時代は終焉を迎えつつある(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023