EUがファストファッションを終わらせるための新法を準備していて、これが導入されれば使い捨てが横行するファッション業界の慣行を是正するものになるかもしれない。
スウェーデン環境保護庁でテキスタイル問題を専門に担当するイヴォンヌ・アウグストソンさんは、今EUで検討されている新法規の枠組みではファストファッションを段階的に阻止していくことが明示されていると言う。
昨年発表されたEUの「サステナブルな循環型テキスタイル(繊維)戦略」は、ヨーロッパで販売されるテキスタイル製品は、長寿命でリサイクル可能であるべきで、またその達成を2030年までに目指すことを掲げている
繊維戦略では、2030年までにEU域内で販売される繊維製品を、耐久性があり、リサイクル可能で、リサイクル済み繊維を大幅に使用し、危険な物質を含まず、労働者の権利などの社会権や環境に配慮したものにする、との目標を掲げている。繊維戦略によると、現在、EU域内における繊維製品の消費は、気候変動を含めた環境への悪影響の原因として、4番目に大きな原因となっている。
欧州委、持続可能な繊維戦略を発表、ファストファッションは時代遅れと批判(EU) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
この戦略はテキスタイル産業の生産、消費そして廃棄を対象とした20の異なる法律の集合体で、これが今考えられている通りに実施されれば、企業はビジネスモデルの変更を余儀なくされるし、消費者はサステナブルな衣料品をより簡単に選ぶことができるようになるはずだという。
これらの新法の中には衣類の品質を保持するために色や形状を保つことなど、製品の製造方法に関する設計上の要求もある。今はジッパーが破損したり、服がねじれたり、色落ちしたりすると、そこで(まだ着ることができるにも関わらず)服を捨ててしまう人が多い。
気候危機問題に大きな影響を与えている衣料業界の問題を解決するには、私たちが一枚一枚の服をより長期間使用することが必要なのは明らか。衣料の品質基準を上げ、それを消費者が簡単に理解できるようにするというこの新法が目指すのは、今家電製品などについているエネルギー効率をAからJまでのレベルで簡単にわかるように分類している、あんな感じのラベル付けなのかもしれない。
欧州委員会エネルギー効率ラベルの改訂 | Power Integrations, Inc.
新法規はEUで販売される衣類が対象だが、たとえば危険な化学薬品や染料の使用を禁止することで、バングラディッシュなどの衣料の生産国で働く人たちの労働環境も向上する。2030年といわず、この戦略に基づいた法律は今すぐにでも導入してくれればいいのに。
とは言え、シーズンごとにコレクションを発表するファッション業界のあり方にもこの戦略は一石を投じていて、フランスやイタリアなどでは強い反発がありそうなのも事実。そこを、あのいつものEUのグイグイいく感じで、ぜひ突き進んでくれたまえ。