先週末、極右のスウェーデン民主党の党大会で党首に再選されたジミー・オーケソンが「新しいモスクの新設は阻止し、反民主主義、反スウェーデン、同性愛嫌悪や反ユダヤ主義のプロパガンダがはびこる地域にあるモスクを没収し、取り壊したい」と演説し(このあたり、ただの差別ではなく、反民主主義や同性愛嫌悪に言及してくるところがジミーの狡猾なところ)、世界中からスウェーデンへの非難が殺到しているだけでうんざりしていたら、昨日はまた別の、むちゃくちゃするなぁ、というニュースがひとつ。
現与党3党と政府外協力するスウェーデン民主党との間で、新政府発足時に交わされた方針、ティド協定(Tidöavtalet)に基づく施策執行のために働く各省庁職員は、より高い給与を受け取ることができると書かれた内部指令文書の存在が明らかになった。
各省庁では5000人の職員が働いているが、そのほとんどは政治的な役割を持たず、どの党が政府与党になろうが、変わらずに勤務している人たちだ。
現在、年次の給与体系の見直しが行われるなかで、各部門の管理職にだされた指令が「雇用者は...政府の意向やティド協定による政治的優先事項の実施のために特に重要だと考えられる分野で働く技能職職員に、特別な注意を払う必要がある」というもの。
この指令により、ティド協定での優先分野に従事していないので昇給できないと言われた職員もいる、と公務員の労働組合STのスポークスマンが明かしている。公務員は政治家が決定したことを遂行するのが仕事だが、同時に政治的に中立であることも大切で、賃金形態に政治的な影響力をもたせるというのはこの国の根幹を揺るがせるとスポークスマンは強調する。
スウェーデン行政の研究者マルメ大学のパトリック・ホール教授は「この指令を出した人はよく考えていないと思う。政治学者として、このような文書を読むことはショッキングで、この指令を出したのが首相や他の大臣であれば、事態は相当に深刻だ」と言う。「憲法は、公務員の仕事は客観性と公平性を特徴とするべきだと定めており、政治家と公務員のボーダーラインを維持することは非常に大切だ」と続ける。
スウェーデンの公務員は高度な専門性を持つが、政策に対して中立で非政治的であるという、スウェーデンの大きな強みの一つを破壊するものだ、との野党から、また与党穏健党の政治家からも批判がでている。
ほんまにむちゃくちゃするなぁ、と思う。ちなみにティド協定がどのようなことを規定しているかというと、こんなひどいことでっせ。
昨年からの新右派政権を支える枠組み協定(Tidö協定)では、行政の職員が、無許可でスウェーデンに滞在している人と接触した場合、警察や移民局への通報の義務化を検討することが盛り込まれた。この際にも医療の現場を例外とするかどうかは、さらなる調査により決めるとされたが「私たちは通報しない」という運動は、この可能性を排除するために行われている。
オーケソンが批判を受けて「Natoの加盟手続きへの影響の話ばかりでうんざり」(ダーゲンス・ニュヘテル)
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