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衣料の最先端再生技術で、資源原産国になるか、スウェーデン

この度稼働したマルメのSiptexは、最先端の技術と装置を備えた衣料の再生利用に特化した施設。

合計260メートルに渡る長いベルトコンベアの上に古着を流し込むと、センサーが綿、ポリエステル、ウールなどの素材を瞬時に判断して自動分別していく。世界でもここまで大規模の素材自動選別装置を備えた衣料再生用施設が作られるのは初めてで、Siptexでは毎時4.5トンの古着の処理を行うことができる。

現在、スウェーデンでは古着は最大5%程度しか再利用されておらず、それ以外は焼却されるなどゴミとして処理されている。また綿花の栽培時に使用される大量の水や薬品、また化学繊維の環境に与える負の側面などから、衣料業界は気候危機問題に負の影響を与えている大きなセクターであり、このブログでもそのことを何度か取り上げてきた。

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SiptexについてスウェーデンのIVL環境研究所のエリック・ペルソンさんは「この設備があれば、今後は新しく綿を栽培したり化繊ポリエステルを今までと同じレベルで生産する必要はなくなる」と説明する。ファッション業界のサプライチェーンをがらっと変えてしまう可能性を秘めているという。

衣料の再生がビジネスとして成り立つためには、超大規模施設である必要がある。「テキスタイル分別のためのスウェーデンのイノベーションプラットフォームSvensk innovationsplattform för textilsortering)」を意味するSiptexは、現在プロジェクトとして運営されており、IVF環境研究所が、スウェーデンイノベーション庁の支援をうけて運営し、H&Mやイケアなどの民間企業、自然保護庁などの関係省庁など数多くの組織が参加して、マルメ市が保有するゴミ処理専門企業のSysavの敷地内で進められている。

これまで発展途上国などにチャリティの一環として送られていた古着は、この先一転してスウェーデンのマルメを目指し、マルメが繊維素材産出重要地区として世界地図に乗るような未来がやってくるのかもしれない。

使い古したあなたのブリーフが再生まれ変わる場所

Världsunik textilsorteringsanläggning tas i drift - IVL Svenska Miljöinstitutet AB

あ、でも再生された服だから買ってもいい、のではなくて、服はやっぱりなるだけ買わないですよ! そこのところもよろしく!

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