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本当に危険な気候テロリストは誰か?

昨日ロレーンの記事を紹介した時に、彼女のスウェーデンでの予選時にテレビ生中継に乱入した気候アクティビストのことに触れたが、同じアクティビストたちが先週また違うテレビの生中継番組に乱入していた話を取り上げる機会を逸していた。

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今回は、有名人たちがダンスの特訓をしてその技を競い合う「Let's Dance」という番組で起こった。乱入したのは、このブログを読んでくれている人たちにはおなじみの😉「湿地帯を回復せよ」という垂れ幕を持った人たち。乱入はテレビには映らなかったそうだが、会場にいた人たちは目撃しており、またこの時はアクティビストの1人がカメラのクレーンと衝突して床に倒れるというアクシデントも起こり、SNSでは、中道右派の国会議員が「すばらしい、テロリストは報いを受ける」とツイートしたり、アクティビストたちにざまーみろ、という声で盛り上がっていたのだとか。

世界中で高まる気候変動アクティビストにに対する非難の声は、法律にも反映されつつある。

イギリスでは、Just Stop OilやExtinction Rebellionといった団体に対抗するため、行政の権限が強化され、 オーストラリアでは、デモをする権利が制限された。フランスでは、警察が座り込む気候変動アクティビストを催涙ガスで攻撃。また、オランダでは、先週末に行われた大きなデモでアクティビストたちが水鉄砲で撃たれ、1,500人が逮捕された。2030年の気候変動目標を達成できない見込みのドイツでは、活動家の容疑者を対象にした大規模な家宅捜索が全国で行われている

世界で起こっているこれらの動きをまとめたダーゲンス・ニュヘテル(DN)の記事では、少し前の国連の事務総長アントニオ・グテーレスの言葉も紹介していて、彼はこんないいことを言っている。「気候活動家は危険な過激派として描かれることがありますが、本当に危険な過激派は化石燃料の生産を増やしている国々です」と。

この記事を書いているDNの気候ジャーナリスト、クリストファー・アルストロームは、国家が気候目標とずれ、それを達成できないことが明らかになっていく過程で、それを指摘するアクティビストの声や行動は過激になり、それと比例してアクティビストを批判、非難する声も高まっていくことを指摘する。

気候変動アクティビストが平和的なデモで自動車道を封鎖すると、彼らはテロリストと呼ばれるが、イタリアで最近起こったように、100年間で最悪の洪水によって自動車道が破壊され通行不能になった場合、非難されるべきはだれなのだろう?

Let's Dance生中継中の気候変動プロテスト(SVT)

クリストファー・アルストローム・各国の気候目標が達成されないと時、気候アクティビストたちが標的にされる(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023