新政府の環境省を閉鎖するという決定は間違っていると、これまでに環境大臣を務めた11人がダーゲンス・ニュヘテルに共同で寄稿した。元環境大臣たちは「この環境省の閉鎖が、環境問題が今後優先されなくなることの始まりとなるのではないかと大いに憂慮している」と書いている。
新政権は環境省を廃止し、気候問題と経済問題を一緒にして、気候経済省という枠組みの中で環境問題を扱うことにした。元大臣たちは、今ほど気候・環境問題において大きな政治上のリーダーシップを必要としたことはなく、気候、環境にフォーカスした専門の省が存在することが非常に重要だという。
エネルギー・経済担当大臣で、新設された気候経済省のトップを務めるエッバ・ブッシュ大臣は「スウェーデンの高い気候目標は引き続き堅持される」と説明し、「スウェーデンは経済界によい条件を提供してビジネスと気候目標を結びつけることで、変革のパイオニアとしての位置を取り戻すことができる」と話す。
ブッシュ大臣は以前から、原発の再稼働と新設に取り組むことを宣言している。
元大臣たちは寄稿文で、1987年にスウェーデンに環境省が設立されてから、この省と大臣は国内政治への影響だけではなく、国連などでの交渉を通じて気候変動条約、生物多様性条約、アジェンダ21などの国際的な策定や、またEU内の環境政策へも大きな役割を果たしてきたと説明する。そして、ドイツでも経済問題と気候問題をひとつの部門で扱うことになったが、これは気候問題を考慮しない経済優先の政策をたてることはできないという考え方もので、今のスウェーデンの政権とは考え方が逆であると指摘する。
何十年もの間、スウェーデンは気候・環境政策において世界のロールモデルとして機能し、今でも多くの人々がスウェーデンを環境大国とみなし他国の環境政策にもポジティブな影響を与えてきたが、今それが失われつつあることを元大臣たちは深く憂慮する。
私も深く憂慮しています、というか、もうとても悲観的なのですが。