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スウェーデンは今も豊かな国なのか?

ダーゲンス・ニュヘテルの「ファクトでわかるこの問題」シリーズが、世界で一番豊かな国のひとつだと言われていたスウェーデンだが、今は他国と比べてどうなのか?を統計数字から確認する記事を出していた。続いているインフレやクローナ安で、生活の豊かさを実感できない人が増えているからだろうか。

他の北欧諸国と同様、生活水準が高いというイメージを持つスウェーデンは、20世紀の間に比較的貧しい国から世界のトップクラスに躍り出た国だ。

国の豊かさは様々な指標ではかることができるが、例えばスウェーデンのGDPは1950年代と1960年代に急激に伸びた。1970年代には石油危機とインフレのために成長がが鈍化したし、また1990年代頭には深刻な低成長の経済危機があったが、その後は2007年から2008年にかけての世界的な金融危機までは回復が続き、1950年代以降でみれば一人あたりのGDPは年平均1〜4%の増加してきた。

しかしこの15年間は、伸びのペースはやや鈍化している。理由として考えられるのは、企業の生産性が伸び悩んでいること、大規模な移民・難民の流入や生産年齢人口の減少などがある。例えば、企業の生産性の成長が鈍化しているのは世界的な傾向で、大きく画期的な技術革新が起こりにくくなっているからだと声もある。

また、移民については2000年代以降、大量の難民・移民を受け入れていたが、短期的には人口の増加とその移民たちが労働市場に出てGDPを上げる時期の間にはギャップがあるためGDP成長率にはマイナスの影響を与えることになる。また高齢化で生産活動を行わない65歳以上の人口の割合も増えている。

そして、記事はOECDの指標を使って、豊かさを主要各国と比較していくが結論を言うと、スウェーデンは1970年代から80年代にかけてはもっとも生活水準の高い国の一つで、また今も、依然として世界有数の豊かな国のひとつである。過去15年間、スウェーデンの一人あたりのGDPはOEDC平均を約20%上回っている。一方で北欧諸国と比較すると、ノルウェーはもとより、デンマークもスウェーデンを追い抜いていった。

記事は1家計あたりの消費支出の比較もみており、この値は他のGDPでの上位国と比べると低いこともわかる。消費の多さは豊かさの実感と結びつきやすいが、スウェーデン人は他国と比較すると消費を控えているように見えるそう。また一般的に一人あたりGDPが高い国では、乳幼児死亡率が低く、汚職が少なく、自己で感じる幸福度が高い傾向がある。さらもスウェーデンは世界的にみると所得の分散が比較的均等で、平均余命も長く、雇用率が男性・女性とも高く、公的負債はとても少ない。

これらのことから、国際的な傾向と歩調を合わせて成長に鈍化のかげりはあるが、スウェーデンは今のところは豊かな国である。しかしこの先、高齢化や移民の雇用状況、そして為替市場がどのように動くかよって、さらに成長が鈍化する可能性があると記事は締めくくる。

気になるのはこの記事ではちらっと触れられていただけの、所得格差は広がっているという傾向で、アメリカよりはずっとましだが、他の北欧諸国と比較すると少し高くなっているという点だろうか。

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ファクトでわかるこの問題・スウェーデンの豊かさは他国と比べてどうか?(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023