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移民統合に関するデンマークの「ゲットーパッケージ」と言語政策

受け入れを厳しく制限するなど、移民に対して2000年代以降スウェーデンとはまったく異なるアプローチを取ってきたデンマーク。

現中道右派政権も、デンマークの厳格な移民政策、ギャング対応策に学ぶべきだと度々言及してきたが、2014年から2022年の8年間政権担当していた間に有効な移民政策を打ち出せなかったと批判される野党、社会民主党も2026年の選挙に向けて、その政策を一新させるために、デンマークから学び、新しい政治的方針を策定しようとしている。

社会民主党は前回、また前々回の選挙で、厳格な移民政策に傾きそうになるたびに、スウェーデン民主党との類似点を指摘され、その内部でも意見は二分し、結局、有効な政策を打ち出すことはできなかった。

今回ダーゲンス・ニュヘテルが、党首のマグダレーナ・アンデションや、同党の移民政策作業部会のメンバーたちのデンマーク政府要員との意見交換や現地視察に同行してまとめた記事の内容は、多岐にわたりまた詳しいが、2つの際立った政策が目についた。

1つ目は、2018年、同時の中道右派政権により導入された「ゲットーパッケージ」で、この時に成立した法案により、自治体は、民族、収入、教育レベル、犯罪歴などの基準値に基づいて、地域に住む人を制限することができるようになった。

デンマークでは2030年までに、孤立した脆弱な地域をなくすという目標をたて、例えばコペンハーゲンのMjølnerparkenを含むいくつかの地域で、古い住宅を取り壊し、引っ越しを余儀なくされた住民を他の地域の住居に割り当てることを行っている。取り壊しや改築が行われた新しい住居の家賃は引き上げられ、政治家たちはこれらの地域の人口構成を変えることを目指している。

デンマークはこれ以前にも、2000年代に入って組織的犯罪に対する罰則の強化や立法措置を数多く導入し注目を集めてきた。その中には時間制限付きで、警察が立ち入り捜査できるといった措置や、組織的犯罪に関与した場合の二重処罰制度などがあるが、今スウェーデンの社会民主党で新しく立ち上がった作業部会「共通言語で社会的結束を高める」は、自治体と脆弱な地域住民たちの間で取り交わされる「ソーシャル・マスタープラン」に注目している。これは、できるだけ多くの住民が小学校卒業後も教育を受けられるようにしたり、若者がアルバイトやスポーツ活動などに従事することを促すような「ソフト」なものだ。

記事はまたMjølnerparkenのような地区に住む子どもたちを、他とは違った方法で扱っている事例にも触れている。この地域の子どもたちは、デンマーク語と「デンマークの価値観」を学ぶために1歳から幼児教育に参加することを課し、その代わりに他の親とは異なり、就学前教育費を支払う必要がない。これはデンマークの社会主義者たちの間で「アメとムチ」政策と呼ばれているものだそうで、デンマークの社会民主党は移民問題では右傾化しているが、同党が今でも支持を失っていないのは、厳格な移民政策と高水準の福祉支出の組み合わせによると、広く考えられていると記事はまとめている。

スウェーデン人たちは、時に自らの理想にがんじがらめになっているようなところがあるが、デンマークの人たちはいつもぶっちゃけているし、現実的だ。でも、ぶっちゃけすぎてるし、現実的すぎると思うこともあるので、一度、スウェーデンの首都をコペンハーゲンの隣のマルメに移してみたら理想的な国ができたりしないのだろうか? (いや、そんなことすると、スウェーデンはきっと2分するな)。

マグダレーナ・アンデション「スウェーデンで民族的に隔離された地域に住むべきではない」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023