swelog ニュースで語るスウェーデン

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「バナナ一本の価値もない」

事態は深刻である。スウェーデンの最良の部分が消えていく… 

今日お伝えしたいのは、教育でも医療でも移民受け入れの話でもなく、職場でのコーヒーやフルーツの無料提供サービスの話なのだけれど。

今週メディアで大きく報じられていたのは、とある自治体でこれまで無料で提供されていたコーヒーが一部有料化されたり、コーヒーを飲むかどうかを労働契約を結ぶ時点で聞かれ飲むと答えた人はその料金を天引きされるといった例や、また役所の職員には無料で提供されているが、看護師は飲んだ分のコーヒー代が給与から控除されるなど、コーヒーの提供のされ方に大きな差があり、議論が巻き上がっているとの話。

些細なことだと思われるかもしれないが、これはきっとスウェーデン人の労働意欲、ひいては国家生産性、そしてGDP成長率などにも関わる大問題だと思うw(もしかしたらどこかの大学の研究者が既に関連性について調べているかもしれない)

今週明らかになった別の「バナナゲート」事件では、ストックホルム圏の医療スタッフにこれまで提供されてきたフルーツの無料サービスが取りやめになる計画に現場からの強い批判があり、経営側はこの決定を撤回することになった。背景にあるのは、インフレなどによる経費削減の必要性だが、フルーツの件では「わたしたちはバナナ一本の価値もないのか」と職員が嘆くなど、労働環境問題として注目されている。(って、私が注目しているだけかもしれないが。わはは)

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記事を読みすすめると、多くのエンジニアのいる民間企業でずっと働いてきた私は、無料のコーヒー、朝食のパンとチーズに、フルーツの無料提供が毎日あるのが当たり前だと思っていたが、これは間違っていたこともわかった。

多くの自治体で働くエッセンシャルワーカーの間では、コーヒーの提供のされかたは様々。自治体によって違うし、また同じ自治体でも職種によって異なるそうで、今吹き荒れている経費節減の嵐の前から、コーヒー代として20〜150クローナ(約300円〜2200円程度。高い場合はパンが含まれていることがよくある)を給与から天引きされているケースもよくあるのだそう。

コーヒーを職場で無料で提供するのはコストがかかるが、従業員が大切に扱われていると感じ、労働意欲が高まるのでこれに関する経費は削減しないというコンセンサスがこれまではあった。これからコーヒーやフルーツ経費がどんどん削減され、スウェーデンのあらゆる職場がギズギスしてきたらいやだなぁ。

スウェーデンの多くの自治体でコーヒー代をは給与から天引き(ダーゲンス・ニュヘテル)

ストックホルム県医療・フルーツ提供停止の決定を撤回「バナナゲート事件」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023