「みんなと地球のラーゴムな暮らし」という連載まで持っている私だけど、「ラーゴム(Lagom)」という言葉は日本語に訳すのに難しいと常々思う。デンマーク語の「ヒュッゲ」は言葉自体がポジティブだと思うのだけど、「ラーゴム」は多くもなく少なくもない、丁度いいを表すけど、それが直接ポジティブな意味合いを持つわけでもない。
今日取り上げる記事の表題に「Lagom tjocka lever längst(ほどほどにぽっちゃりした人が一番長生き)」とあるのを見ると、やはり「Lagom」にいちばんぴったりくる日本語は「ほどほど」なのかなぁ、とも思う。
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さて表題につられて記事を読むと、「ほどほど」どころか、てっぷり太っていても、というか、ちょっと太っている方が人は長生きする、ということが書かれていた。
調査結果を説明していたのは、カロリンスカ研究所で心血管疾患と早死のリスクを研究しているアクセル・カールソンさんで、彼は世の中には健康になるためには体重を減らさなければ、という考え方が蔓延しているが、実は太っている人の多くが標準体重の人よりも早死にするリスクが低いことを指摘する。BMIで標準とされているものよりも数キロ重い方が、例えば、感染症に対しては予防効果があり、そのことは50歳以上で顕著であることが多くの調査結果からわかるのだそう。
記事では多くの調査結果が紹介されているのだけど、例えば2013年に発表された、アメリカのCDCの研究者達が、300万人を対象とした97の先行研究例をまとめJama誌に発表されたものでは、BMIで太り過ぎに分類される人は、標準体重の人に比べて早死にする確率が6%低かった。
カールソンさんは、肥満はよくないことは誰もが認めるところだが、数キロほど余分につけておくことはそれほど悪いことではない、とまとめる。一番大切なのは体を動かし、タバコは吸わず、適度な飲酒習慣や多くの野菜や果物を摂取するなどの健康的な暮らしをすることで、そうすればちょっとぽっちゃりしていても(いや肥満気味でも、というべきか)健康で長生きできる可能性は高くなるという。
うーん、タイトルの「Lagom」の使い方とは違って、実は結構太っている方が長生きするようで、いや、やはり「Lagom」という言葉は難しい。