食品を始めとする様々な分野でここまでインフレが進んだスウェーデンで、コンサートや映画、本など、文化関連のモノやコトの値段はどうなっていたかという記事を読んだ。
インフレ率の調査は、コロナの前の2019年の1年間とこの4月までの直近の12ヶ月の平均消費者物価指数を比較したものに加えて、ダーゲンス・ニュヘテルが行った任意のサンプリング調査を加えて分析されている。スウェーデンでは同期間に全体で14%、食品に限ると19%価格が上昇した。
文化の分野でも価格は上がっているが、その上がり幅は他分野に比較すると小さめのものもあり、中央統計局の物価指数をみると観劇では3%、映画は9%強だった。スウェーデン中央統計局の物価分析官は、これらの分野では輸送価格の上昇による影響をあまりうけていないことを指摘する。輸送が発生し、また紙という原価価格が急激に上昇した新聞や雑誌では、単発購入と定期購入の双方で、価格は20%近く上昇している。
統計的に有意な数字ではないが、ダーゲンス・ニュヘテルが独自に行なった7つの劇場のチケット価格サンプリング調査では、価格は8%値上がりしていたが、どこの劇場も財政的にかなり苦しいところが多いことがわかった。コロナを経て観劇には人が戻ってきたが、価格の上昇で客がいなくなることを恐れて、コスト増をチケット価格に反映させていないところが目立つそう。
好調なのはコンサートや音楽ライブ業界で、チケット価格は平均インフレ率かそれ以上に上がっていても、人気のある野外フェスなどのチケットはすぐに売れきれてしまう。業界の関係者の中には、大きなコンサートや人気アーティストのチケットだけ売れて、新しい才能が発掘されてきた小さなライブハウスに客が入らなくなってきていることに懸念を表す人もいる。
美術館、博物館の入場料も他のインフレ率と同じかそれ以上に上昇している。(その価格の高いことには、この間でかけたデンマークでは為替のせいもあって驚いた。野外ミュージアムの入場料が190DKK・約3800円だった!)、スウェーデンでも今年から国立ミュージアムの入場料無料も終わっってしまった。これまでなんとなく捻出していた「文化予算」だけど、これからはしっかり支出計画の中にいれておかないとだめだな。
なんとなく明るい傾向としては、家計が苦しくなると真っ先に削られてしまいそうな文化支出だけど、これまでの傾向をみると実はそうでもない、とこの記事には書かれていた。苦しい時にこそ、人々はハレの時間を求めるものなのかもしれない。