世界にはひとつくらい日本のように「戦争しません!」って国があったり、スイスやスウェーデンのように「中立でっせ」っていう国があるのがいいと思っていたので、このままトルコやハンガリーがスウェーデンのNATO加盟にいちゃもんをつけ続けて、加盟交渉は流れたほうがいいと思っていたのだけれど、どうやら加盟が決まってしまそうな感じになってきた。
SVTの国内政治解説員マッツ・クヌートソンの解説「NATOは強固な壁でなく、薄っぺらなカーテンになってしまうリスクがある」を読んだ。この発言は彼の言葉ではなく、取材の中で政府関係者の口からでてきたものらしい。
これは加盟申告時にスウェーデンの政治家たちが予想していたのとは大きく異なり、もしも次の選挙でドナルド・トランプが大統領になった場合、NATOはスウェーデンを守る強固な壁ではなく、薄っぺらなカーテンくらいの効果しかないだろうという見方だ。
トランプはウクライナに対するアメリカの新たな支援策に批判的で、ロシアとの交渉による和平を自分なら速やかに実現できると発言している。またNATO加盟国であっても、自国の防衛に十分な投資をしていない国に対してロシアは好きなようにできるとも。
トランプの同様の発言は今に始まったことではないが、アメリカがヨーロッパのNATO加盟国を支援する意志があるのかどうかをわかりにくくするこのような発言は、防衛同盟への信頼に直接ダメージを与える。
そしてその先はおそらくアメリカもあてにできないので、もっと防衛費を投入して徴兵しましょうという流れになっていくのだろうか。NATO加盟国はGDPの少なくとも2%を国防に費やすことが期待されているが、スウェーデンの今年の防衛費はウクライナ関連予算も含めて既にGDPの2%にあたる1190億クローナ(約1兆7328億円)まで膨らんでいる。
これまでの約束など簡単に反故にしてしまいそうな、大統領候補者のいる国の武力をあてにしているところで、日本とスウェーデンは呉越同舟か。