伝統的価値観を試されるルシア祭
今年の行事は終わってしまったが、今日のルシア祭を取り巻く状況をまとめておこう。
スウェーデンの伝統的な価値観を象徴しているルシア祭は、自分がどれくらい保守的で、どこまでリベラルになれるかを試される踏み絵のような行事ににもなってきた。
伝統的なルシア祭では、その年のルシアに選ばれた女性を中心として、若い女性ばかりの合唱団が構成され、真っ白の衣装をまとったルシアは頭の上に、同じく白い衣装のほかの参加者は手にろうそくを携えて、早朝の暗い闇を清らかな歌とほのかな灯で包んでくれる。
時代に合わないルシア・コンテストやルシア祭中止も
多分、それほど以前でもなく、ほんの5,6年前まではルシアは各町でコンテストで選ばれていた。そう、ミス・コンテストのように。
ミス・コンテストが議論を呼ぶのは明らかだと思うが、他にも挙げられているルシアを巡る論点は以下のようなものがある。ルシア祭自体への関心は高まっているにも関わらずである。
- ルシア・コンテストへの参加者は減っている。以前はコンテストの参加者の写真がローカル紙に掲載され、読者が人気投票を行っていた。応募者もほぼ金髪碧眼の女の子だけの状況から、近年は様々なエスニックなバックグランドをもった人が増えている。また今日では外見だけで投票するのは良しとされないことから、歌う力だけで評価する方向などに変化しており、これも応募者が減っている一因と見られている。
- 保育園や小学校では、一人の女の子がルシアとして選ばれるのではなく、子供に自分のなりたいものを選ばせる形が増えてきている。ルシアの格好をした男の子、シナモンクッキー(伝統的に男の子)の女の子など、これまでの決まりにとらわれない思い思いの格好をした子どもたちが増えた。
- ルシア祭がキリスト教の聖人に関わるお祭りであることから、保育園や小学校では、全員で祝えないとルシア祭を中止する例がでてきている。
何百年にも渡って祝われてきたルシア祭も、ストックホルムのスカンセンで大々的に行事として祝われる前は、今日のような形でもなかったそうだ。ルンドやウプサラの大学街ではルシアは男性だったこともあるという。
これからもこの伝統の行事は少しづつ形を変えていくだろう。
ルシアになりたい人hはどんどん減っている (SVT Nyheter)