スウェーデン語には、人は盗みを働こうと思っていなくても、盗めるスキがあったら盗みを働いてしまうのだ、という意味のことわざがある。
いつも言い得て妙だと思うのだが、スウェーデンでは日本人の私の感覚からするとこんなスキだらけの管理の仕方で大丈夫なのだろうか? と思ってしまうことも多い。でもこれまでは、ギチギチに管理せずに、あっけらかんなくらいにおおらかにオープンにしてあっても大概は大丈夫で、もし問題が起きてもその時の方の被害の方が少ないという理論で(?)物事は運営されてきたように思う。人と人の間の信頼関係も伝統的にきっと強かった。
なんの話をしたいかというと、今日はスウェーデン南部の各地の墓地でプロの窃盗団による盗みが連続しているというニュースと、パンデミックの影響か、リモートで行わる大学生の期末試験でカンニングなどの不正を働く学生が増えているというニュース取り上げたいのだ。
両方ともニュースになるくらいなので、問題であるのは明らかなのだが、まず両ニュースでの関係者のコメントがちょっとスウェーデンぽっかった。
ストックホルム大学では、2020年の1年では294名の学生に不正を行ったとの疑いがあり、これはその前年と比較して63%の増加だという。しかし、大学には3万から3万5千人程の学生がいるので、全体としてみると不正をする学生がはとても少ない、というのが関係者のコメント。このあたりの割り切り方は日本の大学関係者からは出てこないように思うのだが、どうだろう。
墓地の方のニュースでは、盗まれているのは水道栓に使われている真鍮が主で、なかには墓石に使われている銅などを抜きとったというケースもあるそうだ。調査している警察は、取られたものはスウェーデンではほとんど売ることもできない商品価値のないものであるため、外国からの窃盗団の仕業ではないかと見ている。
墓地での盗みはこの12月と1月に起こっているものだというが、確かにこの時期、お天道様もみちゃいない、というかあまりお出ましになっていない。
しかし、大学の試験不正の件では、学生の回答をIT技術で様々なテキストとマッチングさせて、お互いに写し合ったりどこかからコピペしたものでないか調べているそうだし、墓地の件では今後問題が大きくなってくると監視カメラの設置などの措置で対応もできそうだ。
お天道様はみていなくても、グーグルや監視カメラが社会のスキを埋めていく。