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高齢者向け施設の機能不全

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非常事態であったことを考慮しても、コロナ禍のスウェーデンの高齢者向け施設で提供されていたサービスの質はひどいものであった。

これは、高齢者向け特別住宅やその他各種のサービスがコロナ禍でどのように機能していたかを医療福祉監査庁(IVO, Inspektionen för Vård och Omsorg)が調査して、この度レポートとしてまとめた結論だ。

これまでに6500名が新型コロナウイルスでなくなっているスウェーデンで、高齢者特別住宅で亡くなった人は約2800名。調査は全体で2万近くの個別事例を検証したものだ。

調査の対象となったのは、全国の85歳から95歳の高齢者向けサービスの享受者で、このうちの16%から22%の人は医学的な診断を受けていないことがわかった。

今回監査の対象となった事例の中には、医師が過去の医療記録を確認することなく緩和ケアで対応することを決定した記録や、ストックホルムのある医療機関では「病気の高齢者は医療施設での治療ではなく自宅での治療とする」旨の方針が出されたことも明らかになっている。

調査の結果を受け、ロベーン首相は「レギオン(スウェーデンで医療を担当する日本の県に相当する地方自治体)は高齢者向け特別住宅において必要な医療と治療を提供する責任を果たしておらず、非常に深刻な問題だ」と発言し、各レギオンに即時の改善を求めるよう表明した。

「すべての人が、どこに住んでいるか何歳であるかに関わらず、その人が必要とする医療を受ける権利がある」。これもロベーン首相が同じインタビューで述べた言葉で、これがスウェーデンの基本理念であることを私は信じたい。

2年まえに介護施設に移ってほんの間もなくして、義父が特に前触れもなく亡くなったのはどういうわけだったのか? 私には今でもしっくりきてないわだかまりがあるし、このニュースでまたそのことを思い出して目の奥が痛い。スウェーデンの一部の高齢者向け施設にある機能的欠陥は、たまたまコロナ禍で大きく露呈したが、それまでもずっと存在していたと私は思う。

政府は今回の報告を受けて、新たに取られるべき措置をIVOに指示しなおす義務がある。これからの動きも追っていこうと思います。

医療福祉監査庁「パンデミック下の高齢者福祉で非常に深刻な機能不全」

© Hiromi Blomberg 2021