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「糖尿病犬」

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 「糖尿病犬(Diabeteshund)」とニュースで見て、日本語でも検索してみたら、日本では「犬が糖尿病になる」のが問題になっているようだった! この展開は予想していなかったけど……。

さて、ともかく、スウェーデンの「糖尿病犬」は、糖尿病患者である飼い主の血糖値の異常を嗅ぎ取り教えてくれる介助犬のこと。適正があると認められた犬に特別な訓練をすることで介助犬として働くことができるようになる。

現在、糖尿病患者へ血糖値の上昇や低下で警告を出すことができる犬はスウェーデン全体で40匹ほどおり、この犬を「介助者」として、地区によっては補助がでる行政もあるそうだ。「糖尿病犬」の需要は年々高まっており、目下、20匹が訓練中。訓練は1年ほどかかる。

20年前に糖尿病患者になったベロニカ・オヤネンさんは、常に自分の血糖値をモニターできるセンサーを着用しているが、一度モニターの誤作動し、またそれに自分も過剰反応をしてしまいインシュリンを注射しすぎて死にそうになったことがあるという。彼女はADHDと慢性疲労症候群の症状もあるため、インシュリン注射や血糖値のチェックを忘れることもしょっちゅうあるそうだ。

リンダさんは瀕死の状態から回復した時に、なぐさめのつもりでポメラニアンとチワワの混種であるランボーを飼いはじめたが、その後に資格検査に合格して1年ほどのトレーニングを受ければ彼に「糖尿病犬」として見守ってもらえることを知り関連機関に連絡。無事に検査も訓練もくぐり抜け、今の愛に満ちた犬によるモニター生活に入ることができた。

子どもにも多い1型糖尿病患者の家族では、子どもの血糖値をモニターし続けることは困難を伴い緊張を強いられ眠れない夜も多いそうだが、そんな場面でもこの「糖尿病犬」たちの活躍できる機会は多そうだ。

無機質なモニターの数字にはない「愛らしさ」と一緒に大切な命を守ってくれる犬の嗅覚。きっと今後も働く犬はどんどん増えるだろう。

「糖尿病犬」への高まる関心

© Hiromi Blomberg 2023