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燃えつきる子どもたち

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日本では高齢化した「引きこもり」問題が改めて大きな社会的課題として浮上してきているが、今日のニュースでスウェーデン語の「Hemmasittare (家で座っている人)」という新語をみた。

インタビューに答えていた11歳の少女アンナは9歳の時から2年、学校にいっていない。

引きこもりという言葉から私たちが想像するように、一緒の家に住む親とも交流しないで自分の部屋でひとりでこもったままという状態ではなく、掲載されていた写真ではリビングのソファでスマホをみたりして普通に過ごせているようだ。学校の友達たちに会いたいとも思っている。

アンナはADHDで自閉症。精神神経障害で自宅で療養するように診断された。今、アンナと同じ学校で5,6人、住んでいる市全体で30人程度アンナと同じような「家で過ごす子供」がいるという。

一度に大勢の人と交じるとパニックになるアンナは、学校がパーソナルアシスタントを雇用して、彼女に特別な注意を払ってくれる環境を作ってくれた時はうまく学校ですごせていた。

アシスタントが他のもっとケアが必要な子供に時間を取られたり、さらには育児休暇に入ってしまった際に、代用要員がこなかったことで、彼女はまた学校に行くのが難しくなってしまった。

特別なケアを必要とする子供が不当に扱われていると学校を学校監査局に訴える親はこの10年で4倍増えている。そういえば以前、ビーガンの給食を用意してくれないと学校を訴えた親の話も書いた覚えがある。

限度はあるが、なにごとでも個人が集団に合わせて、それができないときにはその個人が悪い(子供が怠けているとか、親のしつけがわるいとか)としてしまうのではなく、こうして対応できない集団側に否があるとして、社会問題化していくことで物事は動いていくのだろう。アンナは学校に戻れることを祈ります。

学校が援助してくれないアンナは2年も家で過ごす生活を送っている

 

© Hiromi Blomberg 2023