「東京の30歳以下の住民の10人に一人がすでに外国生まれだ」というリード文に興味を引かれて読んだ、昨日ダーゲンス・ニュヘテルに掲載された日本の移民政策に関する記事。
記事の論調は、日本政府はまったく政治的な論争なしに移民をここまで拡大することに成功しており、移民と人権、難民の関連付けなしに、人口が減り続ける日本で日本人がこれまでの経済的レベルを維持するための経済的手段として移民は拡大を続け、これからも拡大する予定だという、その違いに驚いているといったところか。
日本の移民政策で注目すべきところは(野党も国民も)まったく注目していないところである、と慶應義塾大学の小熊英二教授からとったコメントにその驚きがよく現れている。
スウェーデンは少し前ならイラン、イラクや旧ユーゴスラビアからの、そして最近ではシリアからの多くの難民を含む移民を受け入れ続けてきた国だ。コロナ危機が落ち着いたら、現政府を待ち受けている一番大きな政治課題の一つが移民問題だ。
この記事は移民を数字で捉えただけで、同じ移民という立場でも例えばスウェーデンにやってきた私がうけた待遇(スウェーデン語を無料で教えてもらったり、当時は2年程度の滞在の後、永住ビザをもらったり)と、今日本で「移民」としてカウントされている期間限定の技能実習生など「外国人労働者」との待遇の差には触れていないのが、私には物足りない。
いわゆる「改正入管法」で主に福祉や第一次産業の現場などでの人出不足の解消につながる人材を積極的に受け入れはしているものの、在留期間に5年の上限があり、また特別な場合以外は家族の帯同も認めていない日本の「外国人労働者」のおかれた状況を、「移民」としてスウェーデン人に紹介してしまっていいのかと疑問に思う。
とはいっても統計上は日本は既に「移民大国」であることは間違いない。スウェーデンに暮らす外国人の私は、日本に暮らす外国人の人たちが私と同じようにその国の移民に対する配慮に感謝しながら暮らせることを願います。
日本の移民に関する参考ページ