時々みかける国民の幸福度調査では、隣国のデンマークやフィンランドと並び、世界でも上位を占めることの多いスウェーデン。しかし精神の不調を訴えて病欠をとっている人もとても多いし、精神科にかかっている人も多い。
そして、現在人口が1000万人くらいのこの国で、抗うつ薬の処方を受けている人は実に100万人、約10人に1人に及ぶ。この数は20年前に比べて倍増しており、特に10歳から14歳までの子供への処方は直近の10年間で3倍に増えた。
スウェーデンの抗うつ薬の処方の多さは、OECD加盟の先進諸国の中でもかなり高く、世界で6番目に多い。
この結果を分析した精神科医で研究者のミカエル・ティーゲルは、増加の背景には①うつ病で精神科にかかるという行為が恥ずべきものではなくなったこと、②抗うつ剤の特許が切れたこと、をあげており、③番目として人々の暮らしがよりストレスを感じるものになっているとまとめている。
抗うつ剤は副作用も伴うが、処方の増加と比例するように特に若年層の自殺の減少も顕著ということで、そう『ファクトフルネス』がいうように、やはり「世界はよくもなっているし、悪くもなっている」のである。