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これからロシアはスウェーデンに何を仕掛けてくるのか? まずはナチス呼ばわり

モスクワにあるスウェーデン大使館近くのバス停で、著名なスウェーデン人4名をとりあげて、彼らはナチスだったという大きな広告が張り出されている。

顔写真と共に取り上げられているのは、児童文学作家のアストリッド・リンドグレーン、映画監督のイングマール・ベルイマン、IKEAの創業者イングヴァル・カンプラードと現国王の祖父で前国王のグスタフ6世アドルフというスウェーデンを代表する有名人たち。「私たちはナチスではない、でも彼らはそうだ」と書かれたポスターは「私たちの勝利」という団体が出したということになっている。

スウェーデンのニュースメディア、アフトンブラーデットのコラムニストは「ロシアによるスウェーデンへのプロパガンダ戦争がエスカレートする。このポスターはほんの始まりにすぎないだろう」と書いていた。

第二次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した民族の誇りに訴え、プーチンは今回の戦争をしかけるずっと前から、ウクライナをナチスの国と呼んできた。ロシアの外務省の報道官は今、スウェーデンのNATO加盟は悪い結果をもたらすと繰り返し意見を表明しているが、これからは自国民にむけて「スウェーデンもナチス国家である」というプロパガンダを強化して、国民の間に「スウェーデンも攻撃するに値する」いうコンセンサス作りを行っているのだろうと、コラムニストのレーナ・メリーンは分析する。

ロシアのスウェーデンへの攻撃は今後、サイバー攻撃やフェイクニュース攻撃などを主な手段としてエスカレートしていくだろうということは、スウェーデン国防大学の研究者も指摘している。

この研究者はありうる近未来として、ロシアが政党を設立して、フェイクニュースで煽り、この国の政権に不安を抱かせ、国を不安定にしていこうと試みる可能性があることを指摘している。

最近よく起きている決済システムなどの障害もサイバー攻撃である可能性もあるのかもしれないし、これからは電力システムが攻撃を受けたりすることも考えておかなければいけないのかもしれない。

一体何が起こっているのだろうと理解できなかった、ロシア当局から危険人物と思われたような人たちが、毒をもられたり、突然殺されたりする、映画の中のような事件がそのうちにスウェーデンでも起こり始めるのだろうか?

最後にもう一度広告の中身に話を戻すと、男性3名の方はナチスに好意的な発言をしたことがあることが取り上げられているが、アストリッド・リンドグレーンは反ナチスとして有名なのに、なぜこの広告で取り上げられることになったのか? 

ポスターは、彼女が1940年6月に日記に「もしもそんなことになるのなら、スウェーデンにロシアがくるよりは、これから一生「ハイル・ヒットラー」と叫び続けるだろう。それよりもひどいことは思いつかない」と書いた文章を、文脈と時代背景から切り離して見せたものだ。この頃ソ連はナチス・ドイツの重要な同盟国であったことには、広告はもちろん触れていない。

なんだか、ツイッターでみかけるようなやり方だけど、きっとこういうのは効果があるだろうな、残念ながら。

私たちも最も神聖なものを攻撃してきた、しかしこれはほんの始まりでしかない(アフトンブラーデット コラム)

クレムリンはなぜ有名なスウェーデン人をナチス呼ばわりするのか(ダーゲンス・ニュヘテル コラム)

© Hiromi Blomberg 2022