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映画の著作権とロイヤリティは誰のもの?

アカデミー賞にノミネートされるほどの素晴らしい仕事をして、その後その映画がヒットしてテレビやストリーミングサービスで何度も上映されても、あなたの仕事がメイキャップアーティストならロイヤリティは1円も入ってこない。

2005年から2020年の間にスウェーデンでは、約14億クローナ(約180億円)のロイヤリティが映画監督、撮影、美術、衣装デザイナーには分配された一方で、編集、音楽、特殊メイキャップアーティストへの報酬は、製作時に支払われる一度きりのもので、ロイヤリティが支払われることはない。

映画製作関係者のための労働組合Scen&Filmの組合員の中から140人が、映画に芸術的貢献をしたすべての関係者にロイヤリティをより公平に分配するよう求めた動議を6月に行われる総会を前にこの度提出した。

この動議には『100歳の華麗なる冒険』でアカデミー賞にノミネートされたメイキャップアーティストのラブ・ラーションも名を連ねている。映画がヒットした時、衣装デザイナーにはロイヤリティが支払われるのに、彼のところには1円も入ってこない。

イングマール・ベルイマンの映画の編集者として1970年代以降活躍したシルヴィア・インゲマルスドッターも、その落胆と苛立ちをインタビューで語っていた。

彼女はベルイマンの『秋のソナタ』や『ファニーとアレクサンデル』の編集を手掛けたが、ロイヤリティ収入はほぼゼロに等しい。『ファニーとアレクサンデル』は毎年クリスマス時期にテレビでも繰り返し放映されるが、それを見かけるたびに悲しい気持ちになるという。

労働組合Scen&Filmは既に1994年に「労働協約において映画の編集者へ著作権報酬(ロイヤリティ)が保障されるよう組合理事会は努力すること」を決議し、また2020年には独自の調査を行い、映画編集者、メイキャップアーティスト、音響の担当者も映画の著作権者としてみなされるべきだとの報告をまとめたが、その後も特に目立った動きはない。

メイキャップアーティストのラブ・ラーションは「組合は力になってくれない。これでもなにも起こらなければもう組合をやめるだけ」だと話していた。

私も長い間、組み込みソフトウェアの売買に関わっていたので、ビジネスモデルが買い切りか、その後もロイヤリティが入ってくる形式か、ロイヤリティならばその割合は何%か? によって入ってくるお金の額がとんでもなく違うことは身を持って体験している。

海外で売れに売れていたのにレーベルがロイヤリティを払わないという卑怯な契約で貧困生活を送ることになったアーティストを描いた優れたドキュメンタリー『シュガーマン 奇跡に愛された男』のことも思い出した。

この映画、とてもよいので、まだ観られていない方はぜひどうぞ。悲しいことに監督は亡くなってしまったので、監督はもうロイヤリティを手にすることもないが、ドキュメンタリーの主人公、ロドリゲスは映画の成功(アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞)の後、注目を集めているようです。映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』で脚光を浴びたロドリゲスの物語

 

アカデミー賞にノミネートされてもメイキャップアーティストへのロイヤリティはゼロ(SVT)

© Hiromi Blomberg 2022