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人を殺す暴力が繰り返される2022年という年

この嫌な感じとどう付き合えばいいのだろう。

安倍元首相が銃撃され殺されたことが報じられた昨日からわずか二日前の水曜日、スウェーデンではこの国のオープンな民主主義を象徴するアルメダーレンという政治集会で、子どもたちの精神衛生に関する行政施策に関わってきた有識者が白昼刃物で刺され死亡するという凶悪事件が起きていたばかりだった。

毎年夏、ゴットランド島で行われるアルメダーレンの政治集会は、ここに来れば政治家、ジャーナリストや労働組合の役員や一般市民が、敷居なしに自由に意見を交わせる場所として、スウェーデンの民主主義のあり方を象徴するような場所である。今回の刺殺事件は、このオープンな民主主義への脅威をとして、大きく報道されていたところに入ってきたのが、この日本で起きたにわかには信じられないような銃殺事件である。

スウェーデンのニュースメディアでも安倍元首相の事件はもちろん大きく報道されている。人物評としては、アベノミクスと憲法の枠組み内で自衛隊の役割を変えたこと、さらに憲法9条を改正しようとしていたことや、政治一家の出身で、祖父の岸信介は戦後A級戦犯被疑で3年間抑留されたのちに日本の首相になったことなどが説明されている。「世界を挑発した」という見出しの記事は、靖国神社参拝による中国や韓国との関係への影響に言及している。

安倍氏は元首相だったが、1986年に現職の首相を、また2003年には現職の外務大臣がそれぞれ銃と刃物で殺されるという事件を経験しているスウェーデンでは、政治家は常にテロや暴力に襲われる可能性のあることに今も自覚的だ。

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そして日本でも、そんなことがあったのはすっかり忘れてしまっていたが、今回の事件で1960年に日比谷公会堂で起こった社会党の浅沼委員長の刺殺事件を思い出した人も多いのではないだろうか? 

コロナも大変だったが、ウクライナの戦争で明けた今年は「人が人を殺すという暴力」に血塗られているような年だと感じる。救いがあるとするのならば、私たちは昔の大戦からも、以前の日本ではもっと頻繁にあった政治的テロからも離れ、しばらくの間だけだったかもしれないが「平和ボケ」と揶揄されるくらい平和な状態を作り上げることに成功していたという実績だろう。

暴力はどこにでも潜んでいるが、諦めてはいけない。

解説・アルメダーレンに死に至る暴力がやって来た年(SVT)

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© Hiromi Blomberg 2022