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拍車のかかるカーボンバブルはいつ崩壊する?

この200年間、人類は石油やガスなどの化石燃料に基づく産業の枠組みを作り続けてきたが、気候危機によりこの先10年で排出量を50%削減することが求められている。

同時にウクライナでの戦争によりロシアの所有する化石燃料への依存度を抑えるため、原油価格が高騰し、エネルギー企業が再び大きな利益をあげており、新たな天然ガスや石油の採掘計画が進められようとしている。Rystad Energyによると世界の大手石油・ガス企業20社はこれから8年間で新規のガスや油田の開発に932億ドル以上の資金を投じる計画だと分析している。アメリカのバイデン大統領はこれまで政治的に距離をとっていたサウジアラビアに行き、もっと石油を掘ってくれるように頼んだ…‥

エネルギー企業が所有する将来的には座礁資産となるだろうと考えられている燃料の採掘や抽出にさらなる資金が集められており、今「カーボンバブル」は一層膨れ上がっている。

実際、脱炭素で「カーボン・バブル」がはじければ、化石燃料など最大2000兆円もの「座礁資産」が発生しかねない。「市場の失敗」による潜在リスクは08年のリーマン危機を大きく超え、金融システムの次なる試練となる。

脱炭素、銀行に迫る「座礁資産」 2000兆円のリスク潜む: 日本経済新聞

カーボンバブルの考え方を10年前に表したイギリスの金融シンクタンク、カーボントラッカーのマーク・カンパナーレは「温暖化を1.5度以内に抑えるためには今埋蔵されている全化石資源の9割はそのまま地中に残されたままでなければいけない」という。

しかしこの埋蔵量は113兆ドルの価値があると考えられており、これが今でもエネルギー企業への資金が集まり続けている理由だが、このバブルは今後の政治における決定で一気に崩壊する可能性がある。

イギリスではすでに、自由民主党から化石燃料会社のロンドン株式市場の上場を認めないとか、石油、石炭、ガスの新規プロジェクトに融資する債権を禁止するなどといった提案もでている。このような規制が現実のものになるとカーボンバブルは弾けるだろうし、また再生エネルギーの技術開発が飛躍的に成長すれば、今化石燃料に集まっている資金のバブルが一挙に崩壊する可能性もある。

……とここまで書いてきた内容はダーゲンス・ニュヘテルのロンドン特派員で、何冊もの優れたフェミニスト視線の優れた経済書を出版しているカトリーン・マルサルによる木曜日に出された解説記事に沿っている。

記事はマーク・カンパナーレの「2億人のユーザーを抱えるNetflixは20万人のユーザーを失っただけで株価が40%も急落した。この先シェルの株主の5%が株を売れば、株価は50%下がるだろう」という恐ろしい発言で締めくくられていた。

コロナに戦争にインフレに、それからこの先リーマンショックの比じゃないくらいの金融危機が待っているということか…… まずは、今日は。そろそろシーズンが終わりかけてきたおいしいイチゴを買って楽しむとするかな。

カトリーン・マルサル「カーボンバブルはこのように崩壊し、金融危機を引き起こす」

© Hiromi Blomberg 2023