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誰を優遇? スウェーデンの映画ロケ誘致補助金の中身

有名なところではニュージーランドやオーストラリア、日本でも東京都による海外公開作品のロケハン及びロケ撮影を行う事業者への助成金制度がなどが始まっている。

スウェーデンを舞台にしたスウェーデン映画なのに、ロケ費用がかさむためスウェーデンで撮影できない! といったことも結構起こっていたスウェーデン映画界でも、ようやくスウェーデンで撮影される映画に、政府による制作費補助制度の施行が決まった。

2017年に起案され、昨年大枠が決定。この度決議され、あとは9月からの実施を待つばかりだが、肝心の映画業界からこの制度への批判が絶えない。なぜか?

制作費割引と説明されているこの制度では、制作費総額の25%に当たる補助がでる。対象となるのはスウェーデンと国外の映画制作会社共にだが、制作費総額に制限がある。

決定された仕組みでは対象となるのは、長編映画の場合は総予算が3000万クローナ(約3億8500万円)以上、ドラマシリーズは一話あたり1000万クローナ(約1億2900万円)以上、そしてドキュメンタリー映画の場合は1000万クローナ以上で、ドキュメンタリーシリーズの場合は一話あたり500万クローナ(約6900万円)以上となっている。

批判はドキュメンタリー制作側からも、大きなプロダクション側からもでていて、ドキュメンタリー側からは、もちろんその対象となる予算下限が高すぎて、自分たちはこの補助金の対象とならないこと(大半のスウェーデンのドキュメンタリー映画の予算はこの制限額の半分以下だ)大きな制作を考えている方からは、今回決定した補助金の合計額は1億クローナ(約13億円)となっているため、大きな作品が入ると、またたく間にその補助金総額が底をつくという点にある。補助金総額は2017年にこの議論が始まった頃には3億クローナ(約39億円)の規模で検討されていた。

みんな補助金はないよりもあった方がいい、という点では一致するが、なぜこのような形で一部を優遇し、他を排除するのか理解に苦しむと話す。ドキュメンタリーでも、たしかにネットフィリックスがつくるような作品は、この対象要件にぴったり収まるのかもしれない。

政府はドキュメンタリー映画には、他にも、例えばスウェーデン・フィルムインスティチュートが主催している支援の仕組みなどがある、と説明しているが、さて、この制度からどんな映画が生まれるのやら? 『ドライブ・マイ・カー』ならぬ、『ドライブ・マイ・ボルボ』の制作を考えているあなた、スウェーデンはロケ地にぴったり。4億円の予算を組んでぜひ来られたし。

スウェーデンでの映画制作が安くなる(SVT)

映画業界は補助金制度を批判「ドキュメンタリーは対象にならない」(SVT)

 

© Hiromi Blomberg 2022