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「国外に刑務所をつくるのはやめておけ」

デンマークは来年の1月からコソボにある刑務所に囚人を送ることにしたが、この計画は現在頓挫しており、関係者はスウェーデンに同様の計画はやめておいたほうがいいと警告している。スウェーデンでは新政府が「刑務所の収容場所不足を解消するために、近隣国で刑務所を借りることが可能かに関する調査を開始し、また海外へ強制送還を言い渡された囚人が使用するための恒久的な刑務所を国外につくることも検討開始する」と発表している。

デンマークは、国外退去令を受けた300人の囚人を、早ければ来年の第1四半期にコソボにあるジーラン刑務所に送ることをコソボと合意していた。国外退去となった囚人はまずコソボに送られ、そこから母国に強制送還されるというもので、囚人はコソボの刑務所でもデンマークの刑務所と同様の権利の元に刑に服することになる。これはデンマークでも刑務所の収容場所と職員が不足していることが背景としたもの。

計画は今年6月にデンマークの国会で承認され、来年頭にはコソボの刑務所はデンマークの基準へと改築され受刑者の医療や健康保険の問題が解決されて、コソボの職員の訓練も終わるはずだったが、計画は今中止されている。デンマークでは11月1日に国政選挙があるので、ここでなんらかの結論がでるのかもしれない。

近隣諸国での、二国間で刑務所の貸し借りの合意は今回が初めてではなく、ノルウェーは2015年〜2018年の間オランダの刑務所の収容場所を借りていたという事例がある。関係が終了した時に、当時のノルウェーの法務大臣は刑務所のレンタルは成功したと表明したが、市民オンブズマンの団体は、計画は人権を侵害しまた費用の無駄遣いであるという強く批判した。さらにはノルウェーとデンマークの計画では、オランダはEUの人権条約と国連の拷問禁止条約に拘束されているが、コソボはそうではないという大きな違いもある。

スウェーデンでは今後10年で、国内の刑務所の収容人数を3400人分増やして10,100人とする計画があり、そのうち2500人分が刑務所分、900人分が拘置所分となっている。これはこれから10年間でスウェーデンで犯罪が増加するという見通しにほかならないが、こういう計画って何をもとに数字をはじき出すのだろうか?

デンマークから国外に刑務所をつくる計画に関する警告「やめておけ」(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2023