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映画批評の現在

カンヌ映画祭で2度めのパルムドール賞を受賞したルーベン・エストルンドの「トライアングル・オブ・サッドネス」がこの間から上映されているのだが、第一線の映画批評家が、変わりつつある映画批評家の役割と批評家と映画プロデューサーの関係について書いていた。

映画批評家のヤコブ・ルンドストロームは、これまでは批評家とアーティストの間には、不文律の距離が保たれていたのに、ルーベン・エストルンドの映画のプロデューサーのエリック・ヘッメンドルフは、映画のレビューに不満があるたびに「間抜け」と書かれたメッセージを彼に送りつけてくる、のだとか。

イングマール・ベリマンの時代からスウェーデンの批評家は、世界で絶賛されるスウェーデンの映画作家に厳しい。でも批評家の仕事は褒めることではなくて、まさに批評すること。ルンドストロームはエストルンドの映画は「評価が分かれる」というのが正しい位置づけだと思うと書いているのだが、まだまだ映画の批評は興行収入に響くので、絶賛される一方でこき下ろされると腹がたつというものなんとなくわかるが。

一方で、プロの批評そのものが世の中からどんどん消え去っていく。スウェーデンの通信社TTは年内で映画の批評記事の配信をやめることを発表していて、今後TTの配信をうけて記事を掲載していた地方紙などからは映画批評がなくなるはずだ。そのうちエストルンドのプロデューサーは批評家の声などまったく気にしなくなるかもしれない。一定に距離が保たれていた時代から、「間抜け」と一方的に文句を言われる時代を過ぎて、そのうちに「批評」そのものが消えてしまうのか?

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デンマークではすべて最高点の五つ星評価なのに、スウェーデンでは平凡な三ツ星評価が並ぶ様子をルーベン・エストルンド自身がインスタグラムにあげていて面白い。

 
 
 
 
 
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これだけ国外と国内で評価が分かれるということは、エストルンドはまた一歩イングマール・ベリマンに近づいたということで、ここは一つ割り切って喜んでしまったらいかが?

ルーベン・エストルンドのプロデューサーは、なぜ私に「間抜け」とショートメッセージを送ってくるのか?(ダーゲンス・ニュヘテル)

© Hiromi Blomberg 2022