欧州委員会からの最新の発表によると、スウェーデンはEU加盟の27ヵ国のうちで最も経済の成長率が悪くなる見込みだ。2023年の国内総生産はマイナス0.8%との予想で、EU加盟国の中で唯一、マイナス成長になるとされた。
欧州委員会は、スウェーデンの各家庭において実質可処分所得が減少し、また先の見通しが不透明であり、失業率も増えていることから、消費はさらに控えられるだろうとコメントしている。インフレと光熱費などの住居にかかる費用の増加により、スウェーデン人の家計は圧迫されており、今後金利がさらに上昇すると、借金が多く変動金利で住宅ローンを組んでいる人の多いこの国では、人々の購買力がEUの他の国よりもより低下することが予想されている。
しかし、保険会社Folksamのチーフエコノミストは、このEUの予測の裏には、ここ数年のスウェーデンの高い成長率があり、今年の成長率が他の国より低くなるのは特に驚くべきことではないと説明する。スウェーデンの経済は他のEU諸国に比べて良好な状態にあり、公的債務も少なく、心配するような状況には陥っていない。スウェーデンがここまで好調だったのは、2010年以降EUの他国の成長率は年平均1.3%だったのに比べ、スウェーデンでは2.4%だったことからもわかり、ここにきてようやくスウェーデンも他国と足並みを揃え始めたのだと、いう見方だ。
こちらに住んでいる実感としても、最近のインフレと光熱費の高騰で、みんなちょっと支出を控えめにしようとはしているとは思うけれども、経済が急激に失速しているようには思わない。しかし気候危機のためには「脱成長」が求められていることだし、ここはひとつ、これからも脱成長のトレンドで世界をリードしていってはくれないか、スウェーデン。