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セムラとインフレ、評価テストとお店の売上

昨日は、復活祭の断食の前にたっぷり食べておくという昔の習慣のなごりであるセムラを食べるフェッティスダーゲンと呼ばれる日だった。最近は店頭に並んでいる期間がずいぶん長くなったとはいえ、本来セムラはこの日、この期間だけのお菓子である。

カルダモン入りのパンにアーモンドペーストと甘くない生クリームがたっぷり挟まったセムラは、ダイエットしている人には食べてはいけないもののかたまりのようなお菓子だけど、最近はミニサイズのものも人気で、これなら罪悪感なしに食べる人も多いよう。

セムラの値段は年々上昇しているが、今年は高騰しているインフレ率を上回る価格上昇で、ストックホルム近郊の平均的な値段は一つ54クローナ(約700円!)となった。1994年には11クローナで、2021年には46クローナ、去年は49クローナは、この1年だけでも約10%上昇している。大手銀行のエコノミストによると、年に一度の伝統的な季節の行事ということで、これだけ価格が上がっても買うことを選ぶ人は多いという。

セムラの季節になれば、新聞などでは、セムラの食べ比べ評価テストが掲載されるのが恒例だが、今年はこの評価テストの掲載をやめてくれるよう、ある街のパン屋、ケーキ屋さんが共同で地元の新聞社に申し入れるということがあった。

テストの結果ひとつで、小さなケーキ屋さんには時には壊滅的な影響を与えることがある。パンの質感や味、生クリームの柔らかさ具合などを比較評価してくれてもまったく構わないが、比較テストで一番低い点数がつけられたような場合、売上が50%も落ち込むことがあるのだという。

この申し入れに新聞社の一つは今年は掲載を取りやめ、もう一社は「評価テストはお店のためではなくで、購読者のため」だということで、掲載を続けることとなった。私も以前はよくこの採点結果を見て、ちょっと足を伸ばしておいしそうなセムラを食べにいったこともあるのだけれど。

さて、あなたは今年はこれまでいくつセムラを食べましたか?

今年のセムラの値段「インフレ上昇率よりもさらに高く」(SVT)

ファルケンベリのケーキ屋さんが共同でセムラ評価テストの中止を嘆願(SVT)

© Hiromi Blomberg 2023