しばらくこの手のニュースを見かけなかったのだけれど、4連休明けの昨日の朝のトップニュースがこれだったので、書いておくことにしよう。スウェーデンには中国が所有する企業が1500社ほどあり、それはスウェーデンの安全保障上の脅威である、というのがそのニュース。アメリカでのTikTok報道に関連して、またこの話題が浮上してきたのかもしれない。
現在スウェーデン政府は、ロシアやイランと共に、中国をスウェーデンの安全を脅かす国だとし、重要なインフラや軍事目的に使用できる技術など、安全保障上の影響を受けやすい分野への投資をより適切に管理し、停止することができるようにしたいと考えている。
SVTが、企業登録庁に依頼して、企業の実質的な所有者が中国国籍であったり、その人の居住地が香港を含む中国であったりする企業のリストを作成してもらうと、そこには小さな中華料理店からボルボまで含め1500社ほどがあげられた。
ニュースで取り上げられていたうちの1社、半導体製造のSilex社は、数年前から中国の所有となり、中国共産党や防衛関連品製造と密接な関連を持っていると書かれている。この先、政府の提案が通れば、このような分野での中国からの投資は認可されない可能性がある。ニュースは同じSilex社のドイツにある組織が、最近、他のドイツ企業を買収しようとしたが、中国人オーナーであるということを理由にこの買収は阻止されたことも伝えている。
スウェーデン治安警察(Säpo)はスウェーデンの政治、研究機関、ビジネス分野において中国からのスパイ活動が広く行われており、今の広範囲な中国によるスウェーデンにおける企業の所有は、紛争状況時には、スウェーデンへの脅威として使用される可能性があるとコメントしている。
このニュースに嫌な後味を持ったのは、確かに中国国家権力は「民間」企業を装ってまで、さまざまなところでスパイ活動や工作を行っているのかもしれないけど、それとはなんの関係のないところで普通に暮らしている多くの中国人や中国系の人への見方が変わったら嫌だなと思うからだ。そして今は中国だけど、これがいつか日本と日本企業と日本人の話になってしまう可能性もあるわけで、こういうニュースの時にはいつも、第二次世界大戦時にアメリカで捕虜収容所に入れられた日本人のことを思い出す。